monthly紋様

2009年12月24日 (木)

師走(しわす)

みなさま、メリークリスマス!
12月の古名を「師走」といいますが、この時期は
平安時代から、師匠も走れば、お坊さん(法師)も走るほど、
忙しいかったようです。なのに、現代では、クリスマスという
イベントまで、挟み込まれ、大変です。
でも、こちらは、楽しい忙しさ!ですね。
ロマンチックにすごしたいなら、「ホワイトクリスマス」であれば、上々でしょうが、
東京におりますと、めったにめぐりあえるものでは ありません。
そこで、気分だけでも。。。と思いまして、
本日は 高村光太郎の「智恵子抄」から、
「深夜の雪」のさいごの一節を 読んでみたいと思います。

ああ、御覧なさい、あの雪」
と、私が言えば
答える人は たちまち童話のなかに 生き始め
かすかに 口を開いて 
雪を よろこぶ
雪も 深夜を よろこんで
限りなく 降りつもる
あたたかい雪
しんしんと 身に迫って重たい雪がー

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こちらの詩は 大正2年に発表されました。
信州上高地のアトリエの窓から眺めた雪のことのようです。
当時 智恵子は28歳。当然まだ、精神は正常です。
いいなずけとの婚約を破棄し、光太郎のもとに走り、
ふたりの愛が深まってきたころの詩です。
夜がふけるように 雪がふりつもるように、ふたりの心が
深まっていくさまを しめやかに歌っています。
されど、ふたりの恋は 世間から、ゴシップとして
取りざたされていたころのことでもありました。
しんしんと音もなくつもる雪のように 幾重にも重なった
思いのなかには 複雑なものも あったでしょう。
そんなとき、智恵子の雪を喜ぶ童女のような笑みが
そんなわずらいをふんわり軽く、あたたかく
してくれたのかも知れません。
このあと、ふたりは、婚約、結婚しました。

そこで、今月はこの詩に ちなんで「雪の童話」をイメージし
着物をデザインしてみました。
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雪だるまさんが、覗いているのは、アトリエのなかのふたり。。です。
なかは、ガスの暖炉の火であたたかそうです。
「ぼくもお部屋にはいりたい」って!?
だめだめ、溶けてしまいますよ。

クリスマス、忘年会。。。おしゃれの季節です。
どうぞ、みなさま、存分におめかしして、おすごしくださいね。
と、言いながら、お化粧もせずにブログを書いてるわたしって何?(苦笑)

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2009年11月22日 (日)

霜月(しもつき)

11月の古名は「霜月」。諸説あるようですが、これは
「霜降り月」の略と考えるのが いちばん自然ですね。
その名のとおり、朝の冷え込みがきつくなってきたこのごろ。。。。
起きると、すぐヒーターをつけてしまいます。
されど、平安時代では、暖をとるといったら、火鉢。
しかも寝殿造りで板張り。さぞ、寒かったでしょうね。
さて、今月は百人一首から「初霜の降りた庭を
詠んだ歌」をご紹介します。
我が家はマンションですので、見ることはないのですが
お庭のある方はこんな風情ある景色をごらんになったり
するのでしょうか?

心あてに 折らば折らむ 初霜の
置き惑わせる 白菊の花

(あてずっぽうで、折ってみようか。
初霜がおりて、その白さで、見分けが
つかなくなっている白菊の花を)

作者は凡河内躬恒(おおこうちみつね)という人。なんでも
紀貫之と並ぶ宮廷歌人で古今和歌集の選者だったそうですが、
他の風評が聞こえてきません。まじめな人だったのかしら??
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この歌は、初霜が降りた庭に咲く 霜とまぎれんばかりの白菊の
美しさを詠んだ歌です。むろん、霜と花の見分けがつかないわけが
ありませんが、こういったシュールな表現をつかうと、白菊の庭が
幻想的です。白菊が白い宝石のようです。
このあと、起きてきた恋人と花くらべでもしたかもしれません。
「霜のたくさんついた花を折ったほうが勝ち!」とか。
それにしても、寒いでしょうに、風流な!(笑)

そして、この歌からイメージしてデザインした着物が、こちらです。
Photo_2

手描き友禅に金糸の帯のつもり。。。。ああ。。。
ゴージャスすぎて、私には着られません。
どこぞのパーティで、女優さんに着てほしいです。とほほ。。。

私の「霜の思い出」といったら、登校のときです。
朝、玄関をでて、はく息が真っ白いと、
「霜柱が立っているかな」と嬉しくなります。
当時はまだ、舗装されていない道がいっぱいあって、
わざわざ、霜柱をさがして歩いたものです。
霜柱をざくざく、ざくざく、踏んで歩くのが、とても楽しかった。
大きいのを見つけると、助走してジャンプでつぶしたものです。
運動靴の底が冷たくなりましたっけ。。。

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2009年9月26日 (土)

長月(ながつき)

9月の古名を「長月」といいますが、これは「夜長月」の
略と考えられるそうです。
祖先の人たちは、実によく月をめでてきました。
そこで、百人一首にある歌をひとつご紹介。
作者は素性法師(そせいほうし)というお坊さん。
男性ですが、恋人のおとずれを待つ女性の気持ちを
想像して詠んだ歌です。

今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな

1
「すぐにでも あなたのもとに 行きましょう」
とあなたが お手紙を よこしたばかりに
それを あてにしてしまい。。。。
2
秋の長い一夜をすごし
とうとう 有明の月が出るまで 
待ち明かしてしまったわ。

という歌ですが、別の解釈として
「お手紙いただいたからあてにして、もう何ヶ月も待っているのよ」
という説もあります。

いずれにせよ、「どうして来てくださらないの。来てくださいね」
という女心を歌っています。
男性が詠んだ歌ですから、「女にはこうあってほしい」という
願望はあると思いますが、こういった歌は、実に多いのです。
「待つ」のはせつない気持ちになりますが、
当時の人はそれ以上にその時間を楽しんでいたように
思います。
それを「もの思う」時間に使って、「贅沢」にすごししてきた
ように思います。
そして、昔の歌にはなんと「月」がたくさん登場することか。
「月」の静かな光は「もの思う」ときの格好のアイテム。
人は月がのぼるのを待ち、満ちては欠けるその風情に
おのれの心情を重ねます。
恋人を思い、栄華を思い、現世のはかなさを思います。
たったひとつの月なのに 眺める人の心情で
さまざまな顔となります。

Photo
というわけで、今月は「恋人を待つ月」をテーマに
かわいいお着物をデザインしてみました。
赤い着物は ういういしい。。されど、30代後半からは
ピンクや白の帯というわけにも いかないでしょう。
グレーにしてみました。
銀ねず色というのは 都会の風景に似合う モダンな色です。
お月見アイテムを型染めにして、大人の遊び心!
こんな着物でおしゃれをしたのに、待ちぼうけなんて
くらわされたら。。。現代ですと、お別れですね。

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2009年8月23日 (日)

葉月

さて、今日は月いち連載「monthly紋様」です。
こちらでは、わたしが着てみたい季節の着物をデザインしております。

暑さはまだ残りますけど、夏はもうすぐおしまいです。
ベランダに 蝉がころがっていました。
りっぱなみんみん蝉です。
十分鳴いて、だれかと 結ばれて、きちんと子孫を残せたのかなぁ。
すてるのも、どこか不憫で、サボテンの根元に埋めました。

それで思い出したのが「源氏物語」にある「空蝉」という章です。
心ならずも一度、光源氏にその身を許してしまった身分の低い奥方が
ふたたび、しのんできた源氏に、こっそり、衣だけ残して寝所をはなれる。、
さて、恋人に逃げられた源氏。
蝉のぬけがらのような衣を抱きしめて、なんと家に持ち帰ってしまった
といったお話です。
でも、その奥方は、自分が人妻だとか、光源氏がきらいだったとかで、
逃げたのではありません。女としても誇りを保ちたかったのです。
。。。お話が長くなるので、このへんにして。
こちらは、そのとき描いた、せみの脱皮。
1
夏の明け方、殻からぬけだしたばかりの蝉は、透けるほど青白く
目は黒々としてつぶらに。。宝石のように美しいそうです。
いちど、ほんものを見てみたいもの。

そして、こちらが、その奥方。誇りは保てたけれど、恋する気持ちは
断ち切ってしまったので、心はぬけがらのようになってしまいました。
2
そんなわけで、浮かんだのが、平安時代の有職紋様を
小さく水玉のようにちらしてみた夏の訪問着。
色あいもおさえてみたので、奥方ふうです。
でも、小紋のような柄ゆきなので、大げさにはなりません。
オペラ、歌舞伎などの観劇のあと、お食事。
フランス料理でもよし。イタリア料理でもよし。いえいえ、やっぱり
懐石にいたしましょうか?夫とたまには、恋人気分。
少し贅沢、よそいきの夏の夜に。。。
Photo

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2009年7月11日 (土)

文月(ふみづき)

さて、今日は月いち連載、カテゴリー「monthly紋様」です。
こちらでは、わたしが着てみたい季節の着物をデザインしております。

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先日、金魚を買いました。「福だるま」という種類です。
名前どおり、だるまさんのようにぷっくりしています。
そのうえ、尾ひれが短いので、泳ぐさまがゆったり。
よちよちした感じでとても愛らしいのです。
赤いだるまを「むさし」
白くて頭だけ赤いだるまを「おつう」と名前をつけました。

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うちにはすでに和金が3匹います。
「えよ」「ふく」「ちゃちゃ」といいます。
和金はフナ型ですので、泳ぎが上手。
よちよち泳ぎの「むさし」と「おつう」が
うまくやっていけるか、心配でしたが
一緒にしてみたら、どうしたことか、
まあるいからだを精一杯、ぷるぷる、ぷるぷる
ゆらして同じ速さで泳いでいます。
山の手育ちのようにおっとりしていたのに、
あっという間に、下町育ちのちゃきちゃきになって
しまいました。。。。

「こー、こー、こーぃ」
呼ぶと、5匹は折り重なるように水面にあがってきて、、
めいっぱいおくちをパクパク。「ごはん、ごはん」と大騒ぎ。
と、黒猫くぅちゃんが、自分がよばれたものと
カンチガイしてやってきて、「だっこ、だっこ」と大騒ぎ。

やがて、おなかがいっぱいになった金魚たち。
いちばんからだの大きい「えよ」が先頭になると、
他の子たちが連なって、くるくる、ひらひらお散歩をはじめます。
くぅちゃんは、だっこされたまま、じ~っと見つめています。

というわけで、、日本の夏には、金魚。
今月の装いは「金魚の帯」を主役にしました。

Photo_2

夏に黒の帯は、かえって きっぱり涼しげにみえます。
夏ものの生地は透けているので、帯芯の白さがきわだつのです。
きものも 楽しく黄色の地に波紋様を透かし、藻をおりこんで
どこか、金魚鉢の風景。
素足に下駄で、ビアガーデンでも行ってみたいものです。

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2009年6月11日 (木)

水無月

今日は、月いち連載、カテゴリー「monthly紋様」です。

こちらでは、私が着てみたい季節の着物をデザインしております

紫陽花が道沿いにあふれる季節。

こんもりまぁるい花は、重たげです。

それはどこか、まだ慣れぬ丸髷に

首をたれているご新造さんのようです。

雨にぬれると、そんな艶っぽさが

落ち着いて、しっとりした様子です。

そんな西洋あじさいに比べると、「がく紫陽花」は一見地味に見えます。

でも、わたしは、どちらかといえば、こちらのほうが、好きなのです。

ほっそりとした軽いからだの背筋をしゃんと伸ばしたような、

少し小生意気な生娘のように見えます。

小さな「花」と、花びらのような「がく」がしっかり分かれているさまは、

凛として見えるようですが、そのすきまに、あやうくもろいものを感じます。

分かれているさまが、「恋」を少し感じて、

親に少し「秘密」ができてしまった頃のなんとも頼りない娘に見えるのです。

「結いわた」という嫁入り前の娘が結う髷を二つに割った

髪型があります。

「ふたごころ」を意味するものでしょうか?

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さてさて、お着物の話。雨ともなれば、裾のよごれなど

気になっていっそうめんどうになるもの。

さりとて、この時期、アセテートの雨ゴートはむれて暑いものです。

そんなとき、私がよく着るのが「ポーラ」というサマーウールです。

シャリ感もあり、ちょっと見ると、夏紬のようなので、

お太鼓をしめても、ちっとも、おかしくありません。

安価で、洗濯機の「手洗いコース」で洗えます。

このポーラに、アセテートの雨ゴートの反物を「羽織」に

仕立てて、軽い雨具としています。

今月の着物は、雨を連想させるような大きな矢絣を

紫陽花色の地に透かしてみました。

帯は「てるてる坊主」。

使命をはたせなかった てるてる坊主はしょげています。

五線譜の音符になって、「ぴっちゃり、ポッチャリ」

ごめんなさいを唄ってます。

こんなてるてる坊主さんだったら、許してあげたくなりますね。

雨の日のおでかけだって、着物が楽しめそうです。

Photo_2

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2009年5月 4日 (月)

皐月

買い物の道すがら、すれちがう子供たちが

みんな薄着になってきました。

半そでの子も交じっています。

お洋服を着せられていた犬たちが

本来の姿にもどって、

長い毛ふりふり、お散歩しています。

銭湯の一番風呂帰りの人が

ぬれた髪を風にまかせて、

ここちよさそうにカタカタと歩いています。

そんな風薫るころになると、

わたしは、すぐに「ひとえ」になってしまいます。

しきたりでは、衣替えは

6月からですが、守っていません。

せっかくのここちよい風ですもの。

着物を軽くして、風にふかれてみたくなります。

今月は、いかにも皐月といった青地に

獅子紋をすかして見ました。

すると、水の波紋のようにも見えましたので、

その下に鯉を大きくあしらってみました。

池の中を泳いでいるようにも、滝登りを

しているようにも、みえます。

柄ゆきは浴衣ふうの、気軽さですが、

こちらに白襟をのぞかせて、博多帯を

しめますと、小粋ながら、きちんとします。

昼間のお食事あたりに、すてきそうです。

Satsuki

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2009年4月19日 (日)

卯月

わたしが、ああ、春だなぁと感じるひとつに
「素足になって、下駄をはくこと」があります。
着物は好きで毎日着ているのですが、
実は足袋はあまり好きではないのです。
足袋は、小さめが容子良し、とされているのですが、
すると、こはぜがカチカチ、きゅうくつです。
ですから、少しあたたかくなると、すぐ
素足になってしまいます。
下駄のひんやりした感触が伝わってきて、
「水ぬるむ」といった気持ちになります。
そして、きものは、やはり軽いふんわりした
色合いのものをまといたくなりますね。
これから、ひとつきに一回、自身が「着てみたいなぁ」
という着物の柄をデザインしてみようと思います。
今月は、桜をさしこんだ縞。縞はカジュアルなので、
ちょっとしたおでかけに便利です。
市松の帯は、合わせやすいので、「お助け帯」になります。
帯締めの赤をきかせ色にして、少しかわいらしく。
花笑みのころの、そぞろ歩きに。

Ugetsu

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