5百物語

2013年9月 1日 (日)

今昔物語/怪力の坊さんの話(その3)

怪力の坊さん3回目です。

僧都をふりおとそうと、男はらんぼうに僧都を
ゆすりながら、すごみました。
「やい坊主、わしは、おまえの着物がほしいのじゃ。
ささっとおりて、着物をぬいで、裸になれ」
僧都は平気です。
「やなこった」
おぶられたまま、足でぐい~と男をしめつけました。
「いててて」すごい力です。男は悲鳴をあげました。
痛みで骨がおれそうです。
「わしは、宴の松原で、月見がしたい。連れて行ってくれるか」
僧都はそういって、またまた男をしめつけます。
「いててて」痛みで目玉がとびだしそうです。
「お連れします」
Bouzu4
宴の松原へつくと僧都は月を眺めながら、のんびり歌を
くちずさみました。
男は重いやら、情けないやらで泣きそうです。
「こんどは、右近の馬場に行ってみたいね」
「かんべんしてください」と男がいうと、
僧都はまた足でぐいっと男をしめつけました。
男は悲鳴をあげて、「お連れします」
ふらふらしながら、右近の馬場へつくと、
僧都はまた、のんびり歌をくちずさみ。。
「こんどは、辻の馬場じゃ」
辻の馬場につけば。。。。「次は西宮じゃ」
西宮につけば。。。
京の都を東西南北 男はどのくらい歩かせされたのでしょう。
ようやく、僧都の寺に着いたときは
もう夜があけていました。
Bouzu5
僧都は一枚着物をぬぐと、「ごくろうさん」といって、
男にやりました。
「やれやれ、一晩中おぶられているのも疲れるわい」
なんとも力の強いお坊さんがいたものです。
(おわり)

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2013年8月31日 (土)

今昔物語/怪力の坊さんの話(その2)

恐るべき怪力をもつお坊さん「僧都」のお話2回目です。

ある日僧都は、帝によばれ宮中にあがりました。祈りの儀式をすませると
夜も更けてしまいました。弟子たちは先に帰ってしまったようすです。
「しかたがない、ひとりで帰るとするか」
月の明るい晩でしたかが、冬なのでとても冷え込んでいます。
「着込んできてよかったわい」
そのときです。みすぼらしい男が僧都の前に立ちふさがりました。
Bouzu3a
「これはこれはお坊様、ひとりでお歩きになっては大変でしょう。
わたしがおぶってさしあげましょう」
「それは、ありがたい」
僧都は男におぶってもらいました。
Bouzu3b
西大宮大路と二条大路の角まできたときです。
「おい、ここで降りろ」
男の声が がらりと変わりました。
「わしの寺はもっと先じゃ」
僧都が言いますと、男は僧都をおろそうとらんぼうに
からだを揺らししました。
  つづく

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2013年8月24日 (土)

今昔物語/怪力の坊さんの話(その1)

(今は昔~)ではじまる「今昔物語」には、ふしぎ、シュールな話が
たくさんありますが、その中からふたつ、
世にもめずらしいお坊さんの話をご紹介します。

Bouzu1
まずは、「怪力の坊さん
今は昔、京都に実印僧都(じついんそうず)という、とてもえらいお坊さん
がおりました。このお坊さん、ものすごく力が強いといううわさでした。
「どれほどのものか、ためしてやろう」
ある日のこと、昼寝をしている僧都に、弟子たちがいたずら心をおこし、
足の指にくるみをはさみこんでみると。。。
「あ~、よくねたわい」のびをしながら、僧都は、ばりばりばり~っと
くるみを割ってしまったそうな
「すごい!」弟子たちは、すっかり、恐れ入ってしまったそうな。。。
20130818a
つづく。

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2012年4月28日 (土)

絵本「鯉の滝のぼり」

5月5日は、端午の節句ですね。
男の子のいるおうちではもう、兜や五月人形、菖蒲。。。そして、
鯉のぼりを飾られたことでしょうね。
Koi1
ところで、「鯉の滝のぼり」のお話はごぞんじですか?
中国の故事「登竜門」が元になっていて、急流の滝を
登りきる鯉は天まで昇って龍になるそうな。。。
「ほんとかなぁ。鯉なんて、ちっとも強そうじゃないもの」
と、思ったら、こいのぼりくんといっしょに、ちょっと、むかしむかしの
世界をのぞいてみましょう。
Koi2
どどどど~ん。すごい滝です。
天の神様が、この滝をのぼりきった魚を、王様にすると決めたとか。
どの魚も、王様になりたくて、次々にのぼろうとするけど、のぼれません。
おまけに「じゃまだ。どけよ」とけんかがはじまりました。
Koi3
そのときです。いっぴきの鯉が滝をのぼりはじめました。
その鯉は、小さな声で祈っています。
「国が豊かでありますように。みんなが仲良く暮らせますように。」
水にたたかれ、うろこがはがれても、鯉は負けません。
力をふりしぼって、ぐんぐん、ぐんぐんのぼりました。
Koi4
とうとう、のぼりきると、鯉は さらに天までかけあがり、ついに
龍になり、王様となりました。金色のうろこが、ぴかりと光りました。
Koi5
男の子たちよ!君たちは、どんな大人になりたいのかな。
たくましく、りっぱな龍をめざして、がんばってほしいぞ!

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2012年3月24日 (土)

土佐の昔話「むらをすくった鬼」その3

海辺では、むらびとたちが おおさわぎをしていました。
たいまつをかかげ、波にさらわれた人をさがしています。
泣きながら、だれかの名前を呼んでいる人がいます。
波が、ざんぶざんぶと荒れ狂っています。
おとう鬼は、浜に子鬼をそっとおろすと、言いました。
「おまえは、ここで、待っておれ」
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「そりゃあ、行くぞ」
さいごの力をふりしぼって、おとう鬼は、海にふみこみました。
ごごご、ごごご、ざんぶ、ざんぶ
風が、波が、沖に向かうおとう鬼に体当たりしていきます。
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そのとき、とてつもなく大きな波が足をさらいました。
おとう鬼のからだが、ぐらっとよろけました。
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たちまち、大波が、おとう鬼をのみこみます。
13
それっきり、おとう鬼のすがたは、見えなくなりました。
沖にかついだ岩だけが、小山のように、のこりました。
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それからというもの、海があれても、大岩が波をとめてくれるように
なりました。
村人たちは、安心して暮らせるようになったということです。
のこされた、子鬼は、村の子供として、育てられ、
やがて山に帰っていきました。
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村人たちは、大岩に小さなほこらを立てました。
今でも鬼のおやこは、村をまもっています。
                     (おしまい)

















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2012年3月17日 (土)

土佐の昔話「むらをすくった鬼」その2

それから、何日も過ぎたある日のことです。
あらしがやってきました。
風がふきあれ、ざんざか、ざんざか
雨が降り続けます。
「じいちゃんたち、だいじょうぶかな」
子鬼が言いました。
おとう鬼が海をながめると、大波があばれています。
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「こりゃぁ、いかん。村へ行ってみよう」
おとう鬼は、そう言うと、山にあったいちばん大きな岩を
かかえました。
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力いっぱいもちあげます。
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岩をかついだおとう鬼は、村へ向かって山をおります。
「おとう、おらも行く」子鬼が岩にとびのります。
ぶおおお、ぶおおおと風がふきます。
ざんざか、ざんざか、雨がふります。
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ちからもちのおとう鬼も、さずがに疲れたころ、
ようやく、海辺の村にたどりつきました。
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                                  (つづく)










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2012年3月11日 (日)

土佐の昔話「むらをすくった鬼」その1

震災から、今日でちょうど一年です。
ここのところのテレビの報道を見ているうち、
今からもう12年前に描いた絵本を思い出しました。
土佐に伝わる伝説で、大波に苦しめられる海辺の村を
山の鬼が助けるというものです。
今から見ると、絵がつたないけれど、この伝説が どうしても描きたくて、
高知まで取材しにいったという 私には、思い出深い作品です。
被災された方々にお見舞いの気持ちを込めて連載してみようと
思います。

0
むかし、むかし、山奥に 鬼の親子がすんでいました。
1
おとう鬼は、どかっと、でっかい。
子鬼は、ちっこくて、かわいい。
子鬼はおとう鬼と遊ぶの大好きでした。
ぶっとい腕のはしから、はしまで、とっとこ走ります。
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おとう鬼が、子鬼をなげると、子鬼は、でっかい手のひらの上で、
くるっと、逆立ちしてみせます。
ふたりは、とても 楽しく 暮らしていました。
3_2
そんなある日のことです。
おとう鬼と子鬼は、小さな祠に向かって、一生懸命、
手を合わせているおじいさんと孫を見かけました。
「じいさん、どうしたのだ」
声をかけると、ふたりは、びっくりぎょうてん。
「こわがらんでもいい。なにもせん。」
おとう鬼がやさしく言ったので、おじいさんは、言いました。
「海が荒れないよう、神様にお願いにきたのでごぜえます」
おじいさんとまごは、海辺の村から、一日がかりで、
この山にのぼってきたのだといいます。
4
海が荒れるたびに、村はなんども、大波におそわれてきた。
波は家をこわし、たくさんの村人をさらっていった。と、おじいさんが
話すと、まごが「おらのおとうも、おかあもさらわれたんじゃ」と
言いました。
おとう鬼が、背伸びをすると、むこうに、きらきら光った
それは美しい海が見えました。
「あの海が、荒れるのか」
「へぇ、せめて、みなとに 大きな岩でもあれば、
波よけになりますがのう」
おじいさんは、つぶやきました。
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(つづく)





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2012年1月28日 (土)

小泉八雲「雪女」後半

とうとう風邪をひいてしまって、なかなか治りません。
苦しい毎日で赤鼻になってしまい、外出もままなりません。。
ブログの更新も遅れ、ようやく雪女の続きです。
どうぞ、読んでくださいな。

それから一年たったある日のことです。
巳之吉は山から家に帰る道すがら、ほっそりとした色の白い美しい娘に
出会いました。
娘の名は「お雪」と言って、江戸にいる親戚を頼って奉公先を
探しにゆくのだと言います。
言葉を交わしているうち、巳之吉は、お雪にすっかり心惹かれてしまいました。
「うちで、休んでおいでなさい」と誘い、江戸へゆくのをとどまらせ、
とうとう嫁にむかえました。

お雪は、とてもやさしい嫁でした。そして、十人の子供を産みました。
母親になったお雪でしたが、ふしぎなことに、少しも年をとりません。
いつまでたっても、みずみずしいのでした。
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ある冬の晩のことです。
お雪は、子供たちを寝かしつけると、針仕事をしておりました。
巳之吉は、その様子をつくづく眺めてから、ふと、つぶやきました。
「ふしぎなことを思い出したよ。今思えば、あれは恐ろしい夢だったのかも
しれないがね。。。わしは、昔、吹雪の夜にな、女に殺されかけたのだよ。
色の白い美しい女で。。。ほんと、おまえにそっくりな女でね」
とたん、、お雪は針仕事を投げ出すと、立ち上がって、鋭い声を
あげました。
「それは、このわしじゃ。お雪じゃ!
誰かに話せば、命をとると言うておいたはずじゃ!」
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そして、身をかがめると、こんどは、押し殺した声で、
「じゃが、おまえが死ねば、子供らが不憫じゃ。命はとらぬ。
このうえは、せめて、あの子らを大事に育ててくだされや」
ささやくうち、お雪の姿は、みるみる白い霧となって、天井にのぼり、
煙だしをぬけると、そのまま吹雪の夜に消えてゆきました。
4
「おお~い、お雪。お~い」あわてて追いかけた巳之吉の声を
吹雪の風が消してゆきました。
それっきり、お雪は、家にはもどらなかったということです。
姿をみたものもおりません。(おしまい)

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2012年1月19日 (木)

小泉八雲「雪女」前半

なんだか、珍しく忙しくって、久しぶりの更新になってしまいました。とほほ。
それにしても毎日、寒い日が続きますね。朝は、暖房をいれて30分ぐらいしてから、
起きるようになってしまいました。
さて、今日は、そんな季節柄なので、有名な「雪女」のお話をお届けしてみようと
思います。

むかし、武蔵の国に巳之吉という木こりがおりました。まだ、18歳の美しい若者で、
いつも茂作という年寄りの木こりについて、山で仕事をしておりました。
ある冬のことです。ふたりは、山から帰る途中、ひどい吹雪にあいました。
帰れなくなったふたりは、近くの小屋に逃げ込みました。
戸をしっかり閉じて、ごろりと横になります。
雪のしまく音は、ますます強くなって、ごうごうと山がうなりだしました。
おそろしさに震えていた巳之吉ですが、それでも、いつのまにか、眠りこんでおりました。
しばらくして、顔をたたくように雪があたったのに驚いて、巳之吉は目をさましました。
知らぬ間に戸はこじあけられていたのです。
見れば、となりで寝ている茂作の上に白い着物の女がかがみこんでいます。
そして、しきりに、ふうぅ、ふぅう、ふうぅと息をふきかけています。
その息は、白い煙のようで、茂作をつつみこむと、やがて、
からだを凍らせて、とうとう殺してしまいました。
そのとき、女がふりかえりました。
なんと、美しい顔。でも、らんらんと光る眼。
巳之吉が、声もだせず、ふるえていると、女は、こんどは
巳之吉におおいかぶさりました。
そして、ふうぅと息をふきかけ。。。が、はたと止め、
じいっと巳之吉の顔を見入りると、にっこり笑ってささやきました。
1
「わたしは、おまえのことも、こっちの年寄りのような目にあわせる
つもりだったけど、、でも、なんだか、かわいそうになったよ。
だって、おまえは、若くて、きれいなんだもの。
だから、もうわるさはしないよ。
けどね、今夜見たことは、だれにも言ってはいけないよ。
誰かに話したら、殺してしまうからね。よく覚えてお置き」
そう言うと、女はくるりと背をむけて、すうーっと小屋を出て
ゆきました。
   (つづく)

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2011年12月 9日 (金)

日本の昔話「かもとりごんべぇさん」その2

ごんべぇさんが、むちゅうで つかんだのは、
なんと、うさぎでした。
なんとか、岸へあがります。
すると、ふところから、魚が ぞろぞろ ぞろぞろでてきました。
あれまぁ、かもに うさぎに 魚が いっぺんにとれました。
4


「うほほ~い。すごい、えものじゃ」
ごんべぇさんは、ごきげんで、着物をかわかします。
と、近くにに穴を見つけました。
さっき、つかんだうざぎが もがいて、土を掘ったあとです。
おやおや、穴から、山芋が見えました。
「おっとう、おっかぁの大好物じゃ」
さっそく、堀り出します。
あれまぁ、かもに うさぎに 魚に 山芋までとれました。
5
と、そのとき、どどどど、どどどど。。。
たいへん!いのししがむかってきました。
あわてて、木のかげに隠れたら。。。。
どし~ん!。
いのししは、足をすべらせて、木にぶつかって、
目をまわしてしまいました。
あれまぁ、いのししまで とれました。
6

ごんべぇさんは、いのししを 縄で しばって、かつぎました。
「よっこっら、よっこら、どっこいしょ」
重いけれど、ごんべぇさん はごきげんです。
なにしろ、かもに うさぎに 魚に 山芋に、いのししまで
あるのだもの。
「うほほ~い」山のようなごちそうをかかえて、
ごんべぇさんは、家に帰りました。


こうして、ごんべぇさんは、おっとうとおっかぁと
幸せなお正月をむかえましたとさ。
7
おしまい。とっぴんぱらりのぷう。

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