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2012年3月11日 (日)

土佐の昔話「むらをすくった鬼」その1

震災から、今日でちょうど一年です。
ここのところのテレビの報道を見ているうち、
今からもう12年前に描いた絵本を思い出しました。
土佐に伝わる伝説で、大波に苦しめられる海辺の村を
山の鬼が助けるというものです。
今から見ると、絵がつたないけれど、この伝説が どうしても描きたくて、
高知まで取材しにいったという 私には、思い出深い作品です。
被災された方々にお見舞いの気持ちを込めて連載してみようと
思います。

0
むかし、むかし、山奥に 鬼の親子がすんでいました。
1
おとう鬼は、どかっと、でっかい。
子鬼は、ちっこくて、かわいい。
子鬼はおとう鬼と遊ぶの大好きでした。
ぶっとい腕のはしから、はしまで、とっとこ走ります。
2
おとう鬼が、子鬼をなげると、子鬼は、でっかい手のひらの上で、
くるっと、逆立ちしてみせます。
ふたりは、とても 楽しく 暮らしていました。
3_2
そんなある日のことです。
おとう鬼と子鬼は、小さな祠に向かって、一生懸命、
手を合わせているおじいさんと孫を見かけました。
「じいさん、どうしたのだ」
声をかけると、ふたりは、びっくりぎょうてん。
「こわがらんでもいい。なにもせん。」
おとう鬼がやさしく言ったので、おじいさんは、言いました。
「海が荒れないよう、神様にお願いにきたのでごぜえます」
おじいさんとまごは、海辺の村から、一日がかりで、
この山にのぼってきたのだといいます。
4
海が荒れるたびに、村はなんども、大波におそわれてきた。
波は家をこわし、たくさんの村人をさらっていった。と、おじいさんが
話すと、まごが「おらのおとうも、おかあもさらわれたんじゃ」と
言いました。
おとう鬼が、背伸びをすると、むこうに、きらきら光った
それは美しい海が見えました。
「あの海が、荒れるのか」
「へぇ、せめて、みなとに 大きな岩でもあれば、
波よけになりますがのう」
おじいさんは、つぶやきました。
5
(つづく)





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