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2010年8月20日 (金)

小泉八雲「ろくろ首」その3

回竜がひたすら経をとなえてからどのくらいたったでしょう。
のどが渇いてきました。裏庭にかけひがあるかもしれません。
回竜はそうっとふすまを開けました。
この部屋では家のものたちが寝ているはずでした。
ところが、回竜の目にとびこんだのは寝ている五人の胴体だけでした。
なんと、五人が五人とも首がないのです。
「大変だ!人殺しだ!」
50
しかし、人殺しにしてはおかしいのです。
あたりには 一滴の血もありません。
「ははぁ」回竜はうなづきました。以前読んだ中国の古い書物のことを
思い出したのです。
「こいつらは、ろくろ首という化け物にちがいない」
書物には、化け物の首が離れているすきに、胴体を別の場所に
動かしてしまえば、離れた首は二度と元へはもどれない。
とありました。
「さっそく、ためしてやる!」
回竜は肝の太い男です。あるじの男の足をつかむと、
ずるずる、ずるずる裏庭へ引きずっていきました。
6
草むらに胴体をかくすと、木陰からこっそりあたりを見回しました。
と。。。ああ、いました、いました。
五つの首が、ひらひらと宙に舞っています。
木立や地面の虫を見つけては、むしゃむしゃ食べながら、
おしゃべりしています。
7
あるじの男の首が言いました。
「あの坊主め、よく太っているのう。さぞ、うまかろう。
はやいところ食いたいものじゃ。
しかし、余計なことに経なぞ読みおる。
そのあいだは近寄れぬわい。」
すると、女の首が言いました。
「なぁに、もうそろそろ眠っていましょうぞ。
あたしが、ちゃっと見てきましょう」
ひらりと飛んでいくと、またたくまに息せききってもどってきました。
「ぼ、坊主は部屋にはおりませぬ。それにあるじの胴体も
見当たりませぬ。あの坊主の仕業にちがいありますまい。」
この知らせを聞くと、あるじの男はかっと、目を見開きました。
「なんだと!からだを動かされたとあっては、もう元にはもどれぬ!
わしは、死なねばならぬ。こうなったからには、死ぬ前にあいつを
八つ裂きにしてくれりょう。むさぼり食ってやる!」
8
うなり声をあげたとき、
「やや、坊主め、あそこに隠れておる!」
言うよりはやく、あるじの首は四つの首をしたがえて
回竜におそいかかりました。
(つづく)
昔描いた絵が気に入らず、仕事のあいまに、描きなおしていたら、すっかりアップが
おくれてしまいました。読んでくださっているかたには
お待たせして、申し訳ないです。
次回はようやく、最終回です。回竜の活躍をお楽しみに!のんびり、待っていてくださいませ。

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コメント

背筋がぞくぞくっとして、たまらない快感です!
日本の怪談は、本当に良いですね~♪
子供の頃観た、白黒の四谷怪談の映画も、
たまらなく怖かったですmovie
ぷりんさんの絵も、それに負けず劣らず、怖くて素敵!

ただ今回のお話は、怖がりなおとには読ませていません。
この暑い中、しがみついて来られたら困りますものsweat01

次回も、のんびり待たせていただきますheart04
お仕事、頑張ってください!

投稿: せりなずな | 2010年8月20日 (金) 21時18分

cloverせりなずな様
日本の怪談って、楽しい、化け物の形が
実に種類がいっぱい。
先人たちは、創造力豊かでしたねぇflair
描くのが楽しいですhappy02

なおとくんも小学4年生ぐらいになれば、
平気かな(笑)
今はまだまだbombsweat01
きっと泣いちゃうわねcrying

投稿: ぷりん | 2010年8月21日 (土) 06時32分

こんばんわhappy01

1から3まで一気に読んでしまいました。
お話と絵がすごく合っていて怖さ倍増ですwobbly
続きがとっても気になりますhappy02

ところで
ろくろ首って首がのびるおばけだとばっかり思ってました。
首と胴体が別々になるおばけだったんですね~sign01

投稿: とことこ | 2010年8月22日 (日) 23時24分

ろくろ首が外へ飛んでいき、虫を食べる・・・
ここが一番怖い〜恐ろしい〜 (>_<) 

首だけ、腕だけ、カラダだけ・・・
昔、梅図かずおの作品ですが、
廊下を腕だけが動いていくシーンがあって、
それを思い出しました。

墨色の世界がこの作品とピッタリ。
それと動きのあるタッチが迫力満点。

さて回竜さんは、どうやって対抗するのかな〜

投稿: アルキメデス | 2010年8月23日 (月) 16時08分

footとことこさま
ろくろ首は「首がのびる」方がよく知られています。
百鬼夜行でも、のびるタイプです。
わたしも、この原作を読んで、
こういった形態もあるのかと(笑)知りました。
どちらも、どこか、愛嬌がありますよね。spa
というのも、西洋ものとちがって
リアルではないんです。ファンタジーなのよんheart04
続き待っていてくださいね。happy01

投稿: ぷりん | 2010年8月23日 (月) 18時01分

eyeアルキメデスさま
ろくろ首の主食が「虫」!というのがびっくりでした。
案外、実は、おとなしいのでは(笑)
たまのごちそうが「傑物」でろくろ首としては
「災難」な話です。weep
次回は、強いpunch強いpunch回竜です。
かわいそうなろくろ首。crying

部分をアップさせていくと、こわ~い♪ですよね。
うめず先生は まぁ、天才!fuji
最近ではリングの1.ちらリズムの復活でしたねtelephone

投稿: ぷりん | 2010年8月23日 (月) 18時13分

こんばんは。
私もろくろ首は、首が伸びるものだとばかり思っていましたshock
こういう展開のお話も面白いですよね。

そして、竹の幹の描き方が素敵ですheart01
こういう発想が出るところが、さすが先生ですね。

いい絵といいお話note
是非、たくさんのお子さんに見て頂きたいですsun

投稿: aoba | 2010年8月23日 (月) 20時06分

snailaobaさま
いつも、ありがとうございます。
竹はですね、「緑」で「つるつる」だけど、
「逆の発想」recycleを使うと、
「ふしぎ感」shineがでます。
ひまわりの魔女さんの「青いひまわり」の
と同じです。happy01
あおばさんには、ごく自然にspaこの発想が
できると思います。scissors

投稿: ぷりん | 2010年8月25日 (水) 17時46分

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