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2010年2月18日 (木)

中原中也を描く その1「サーカス」

わたしは 物語に絵をつけるのも好きですが
詩に絵をつけるのも とても好きです。
詩人中原中也は、好きな作家のひとりです。
中也の代表作のひとつに「サーカス」があります。
こちらに絵をさしこみながら、読んでみますね。
読めば、そうそう!となつかしく思い出される方も多いのでは?

幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
0
この戦争とは、日清日露戦争のことらしいのですが、それを描いても
詩の持ち味が台無しになるので、抽象画ふうにしてみました。
人らしきものを並べて兵隊さんをイメージ!
ぐるぐるした線は「争い」のつもり(笑)
ちらちらした白い円は、ちってゆく魂か(笑)

幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
今夜はここでひと盛り
今夜はここでひと盛り

1
「ひと盛り」にかけて「ひとり」をアップ!
どうやら時代は変わったらしい。空気感も変わって、何か感じている
つもりの人物。。(笑)

サーカス小屋は 高い梁(はり)
そこにひとつのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭さかさに手を垂れて
汚れ木綿の屋根のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それを近くの白い灯が
やすいリボンと息をはき

観客様はみな鰯
のどがなります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
2

詩の場面は一転して、サーカス小屋に移ります。
空中ブランコなのにちっともわくわく感を感じません。
何かが。。。ただぶらさがって揺れているばかりに思えます。
それを見ている観客も 鰯のように群れているものの
歓声は聞えず、のどばかり鳴らしているようで、どこかぶきみです。
なんだか、さめたいのにさめない もやもやとした夢の中のようです。
どこか退廃的な中也の内面をのぞいているみたいです。

屋外は真っ暗 闇(くら)の闇(くら)
夜はこうこうと更けまする

落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルジアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

3
詩の場面は、サーカス小屋から外へ移ります。
暗闇のなかに、三角のテントだけが、ぼおーっと浮かんでいるようです。
時間も空気もただそこで、たゆってばかりで 進みません。
まるで、昔栄えた国が、深海にしずんだあと ひっそり霊になって
ただよっているような印象です。

幻想的な詩だなぁ。。
「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」という旋律が 心にこだまする。
虚無的で哀しいこんな擬音をつぶやいた中原中也。
彼は生来、普通の人とはちがって、えら呼吸しながら、きれいな沼に
棲んでいたのかしら?

(つづく)次回は別の詩と絵で。。。。
こちらは映像で綴る日本の詩歌「中原中也」に収めれれています。

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絵と映像」カテゴリの記事

コメント

ぷりんさんの抽象画はこうして出来上がるのですね。
感覚が言葉になり、歌になり、絵になる。

中也とぷりんさんがサーカスの空中ブランコで
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
とゆっくり揺れあいながら

手と手が触れて、スパーク!
そして創造の花が舞う〜

投稿: アルキメデス | 2010年2月18日 (木) 19時53分

えら呼吸しながら、沼に棲むのは…
山椒魚?鯰?何かしら??
でも、そのイメージ!妙に納得してしまいます。

高校生のころ、教科書に載っていた中也の写真に
変な恋心を抱いたりして
詩を読んで、分かった振りをしてました。

ぷりんさんの抽象画、初めて拝見させていただきました
解説付きで、絵心のない私にも、よ~くわかりました。
頭の中に浮かんだイメージを絵で表現できるって、
本当に素晴らしいことですね!
私は無理でも、子供にやらせてみようかしら

投稿: せりなずな | 2010年2月19日 (金) 18時17分

アルキメデス様
自分の感覚を研いでくれるものに
「詩」があります。
ことばを音符にしていける人はすばらしい!
あと「能」も見るとそそられます。
うまくいったかどうか?は別にして
楽しいお仕事でした。

投稿: ぷりん | 2010年2月20日 (土) 20時19分

せりなずな様
あの教科書の写真。。以外はない?
ほど印象的な写真ですよね。
かわいい!しかも
いかにも繊細そうで。。。
なおとくんも、平成の中也になりそうな。。。
感覚の持ち主!
今はえら呼吸してるのです。
楽しみね!

次の記事を描きたいものの
マックを入れ替えたばかりで、うまく
操作ができなくて 困ってます。
とほほ。。。

投稿: ぷりん | 2010年2月20日 (土) 20時29分

抽象的な表現によって、ますます詩が好きになります。

難しいテーマなのに。最後には豊かな気持ちになります。

いつまでも挑戦あるのみ…と、自分に言い聞かせています。

投稿: いまはしゆうこ | 2010年2月21日 (日) 12時06分

いまはしゆうこ様
詩人というのは、絵描きより「生来」のものが
必要なような気がします。
言葉はみんなが使うものだけに、
かえって、むずかしいですね。
ですから、わたしは、それをあやつれる人が
うらやましくて、
寄り添ってみたくなるの。

挑戦あるのみ!か。。。重いわぁ。
いつまで、がんばれるかなぁ。
心もとないです

投稿: ぷりん | 2010年2月22日 (月) 18時49分

こんにちは
深い色合いが、この詩にマッチしていると感じました。
色々な事に挑戦されて自分を高めていらっしゃる。
いつも尊敬の眼差しでブログを拝見しています

投稿: aoba | 2010年2月23日 (火) 11時42分

aobaさま
aobaさんの絵のバックのつけかたなど、
拝見すると、抽象画にも向いていそうだなぁ。
と思っています。
こんど、花らしきもの風らしきもの
だけで、描いてみても、きっとすてきになりますよ

投稿: ぷりん | 2010年2月23日 (火) 13時18分

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