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2009年12月 5日 (土)

「綿より軽い君の骨」

去る11月24日(火)麹町倶楽部主催の歌会に行ってまいりました。
こちらの歌は「五行歌」です。
「五行歌」というのは短歌でも俳句でもなく、「五行」でまとめる詩です。

参加者投票の結果、今回の一席はこちら。

折鶴となって
翔び去ったのか
紙よりも白く
綿より軽い
きみの骨を拾う

2

お詠みになったのは、村瀬杜詩夫先生です。
この会の重鎮で いらっしゃる。
この歌は、ご友人の死を悼んで お詠みになったそうです。
ご友人は、社会的な地位の高いりっぱな方だったとか。
しかし、こうしてお骨になった今は、そのお役目から解き放たれました。
生前の責任の重いお立場を思うと、その骨の軽さは
なんとも頼りなく思えたことでしょう。
されど、楽になったのかも知れないと思うと
骨の白さが、なにか浄化されたように清らかに映って、
目に染み入るようだったのかもしれません。
哀しいけれど、軽やかな白い白いお骨です。

病気の快癒を願って飾られていた折鶴は、
色とりどりで華やかなものだったでしょう。
でも、願いがかなわなかったとき、鶴たちは
白く清らかになって、魂を運んでゆくのかも知れません。

「白」という色で、つむいでいく「生と死」。それは「死と聖」。
そして「聖と哀」と縦糸と横糸のようにして織られていくようです。
折りあがった布は作者の思いを「昇華」させたもの。
そんなことを考えさせてくれた歌でした。

さて、こちらは、わたしの歌。
三席にもはいっていませんが、会員の方から「意味はよくわからないけど、
イメージとしてひきつけられる」といった感想をいくつかいただきました。

銀の糸
たぐって のぼる
のぼる のぼる
光 住まうは
沼の底だのに

Photo

これは「くもの糸」のお話をヒントに詠んだものです。
わたしは「野心」。よく言えば「志」のあるタイプで
「上へ上へ」とのぼりたがります。
くもの糸がたれてきたら、よく考えもせず、のぼってゆくでしょう。
でも、はたして、上には「わたしの望み」があるのでしょうか?
ほんとうの幸せってなんでしょう?
自分が今「沼だと思っている現状」の「底」にこそ
「白く清らかなはすの花」が咲いているのではないか?
わたしは、己をわからず、見えていないだけではないかしら?
そんなふうに思うと「底のに」ではなく、「底のに」に
なりました。
ご笑覧ください。

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コメント

折り鶴の始まりが、どうしても特攻隊のイメージです。
村瀬先生の意図することと、違う印象を持ってしまいますが、
戦争で死んでいった者たちの、尊いそして重い命が、
紙一枚よりも軽く扱われてしまったcrying
息子が、学校で戦争について学んだばかりですので、
余計に、その印象が強かったかもしれません。

ぷりんさんの、お気持ち。
五行詩から読みとれます。
蓮の花は、泥中の中から見事な華を咲かせます。
泥中こそ、鍛錬の場かもしれませんね。
私も、ず~~~~っと泥中ですが…
いつか見事な華を咲かせたいものですtulip

投稿: せりなずな | 2009年12月 5日 (土) 14時06分

cloverせりなずな様
特攻隊!なるほど!
これは、特攻隊の方のイメージです。
と、人様に申し上げたら。
なるほど!と思われそうです。
最後の一行を「拾いたし」にすれば
まさにそう!です。すごいすごい!せりなずなさん
の発想に、感心!heart02

泥の沼に咲く、美しい人生もあるのに
欲深い己に、悩ませられる日々です。
それに、くもの糸は、しょっちゅう
切れたりします。crying
暗中模索。お互いがんばりましょうね。updown

投稿: ぷりん | 2009年12月 5日 (土) 19時58分

村瀬さんにこのブログを紹介しましょう。
きっと喜ばれると思います。

銀の糸の絵は、イメージしたことがない世界ですね。
あるとすれば、クレバスに落ちた夢を見たことがありますが
助けなどない、暗くて絶望的な底のイメージです。
糸でも紐でも、きっとしがみつくと思うな。

投稿: アルキメデス | 2009年12月 7日 (月) 18時34分

eyeアルキメデス様
わぁ、ありがとうございます。
叱られないか、ちょっぴり心配ですけど。wobbly

あのね、絵にお花の影がはいっていますでしょ。
あれは、アルキメデスさんの「白い山茶花」の
お写真を加工したのよん!flair
全体のマチュエールには葉っぱを加工。flair
おかげで、おもしろく
仕上がりました。ありがとうございました。happy02

投稿: ぷりん | 2009年12月 8日 (火) 09時44分

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