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2009年11月18日 (水)

昔話の「よもやま話」

小澤俊夫先生から、教わりました「昔話の語法」について
「ブレーメンの音楽隊」を例文にして、3回にわたって 読み解いて
まいりました。
私自身、記事を書きながら、ずいぶん復習したカンジです(笑)

さて、グリム童話をはじめとした「昔話」は、中世の時代から「おとぎ話」として
愛されてきた世界ですが、近年「残酷」といわれたりするのを、悲しい思いで
聞いております。
今は「清潔」で「便利」で、世相が「残酷」なので、自然と共生していたころの
時代の「ふしぎ話」が、楽しめないのかもしれません。
でも、重ねて申し上げますが、「昔話」とは「欠如」をもつ主人公が「幸福」になる
文学なのです。聞き手であった子どもたちが「ああ、こうなりたいなぁ」と思って
いたからこそ、語り継がれてきたものなのです。
Photo
長靴をはいた猫
子どもたちは 主人公と自分を重ね合わせてストーリーを楽しみますので
脇役のことは ほとんど気になりません。
自分の命をねらったりする悪者は、排除しなくては なりません。
「残酷」という指摘をうけるいちばんは、主人公の敵が、抹殺されたりする場面
ですが、それは、主人公の「身の安全を確保」する「保障」なので、
子どもからすれば、「やれやれ、これで、助かった!」と、ほっとする
「めでたし!場面」なのです。

それに、そもそも人とは 「残酷」だったりしますので、小さなころに残酷を
「疑似体験」して、それを消化する訓練をしておいたほうが、いいように思います。
そのへんもあって、残酷であっても血を流さないで、図形のようにさらっとやる
独特の語り口が、生まれてきたのかも知れません。
「清潔」な世の中ですが「命とは、食い合うもの」であることを 忘れたふりをして
「思いやり」を語っても、「命への感謝」は、生まれないと思うのですが。。。
Photo_2
人魚姫
さて、昔話の構造は、西洋も東洋も ほとんど変わらず似たお話が
たくさんありますね。でも、西洋から見ると、実に理解しにくいのは
「つる女房」のようなお話だそうです。
だいいち、主人公は「つる」か?「夫」か?どちらにしても「幸せな結婚が
やぶれた」という「欠如」のまま終わっている。これは「未完か?」と
思うそうです。
でも、日本人のわたしたちは、こういった「せつない終結」を愛してきましたね。
「きっぱり解決」しないことを「それも良し」とする精神文化。
「どちらが悪い」と決めない心のありかたは「やさしさ」に通じるところです。
このグローバル化のなかでも、失わないでほしいなぁ。と、思います。
Photo_3
つるのおんがえし

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コメント

ぷりん様
四方山話、でしょう、楽しく拝読いたしました。

>でも、日本人のわたしたちは、こういった「せつない終結」を愛してきましたね。
「きっぱり解決」しないことを「それも良し」とする精神文化。

わかる、わかる。
そういう日本人ならではの繊細な精神、のようなもの、が、確かに存在しましたね。
この頃の日本人は、そうでもないですけどね。
叙情的なものは、社会では通用しないので、
こういうお話の中から、やさしさの精神を育んでいただけたら、と、願います。

投稿: えつりん。 | 2009年11月18日 (水) 22時02分

wineえつりんさま
あらら、すごい誤字!
ありがとう。tulip
あわてて、なおしました。coldsweats01

そうかぁ。やはり、ビジネスの世界では
もうこの日本的感覚は無理なのかしらね。ng
もう少し、おっとりした社会aries
にもどってほしいのですけどね。spa

投稿: ぷりん | 2009年11月19日 (木) 06時21分

私が、日本の昔話に引かれるのは、
やっぱり、この余韻です。
そこから、また物語が始まりそうな終わり方。
自由に想像出来ますものheart04

ビジネス世界では通用しない日本人の情緒的な部分は、
せめて人と人との関係の中だけでも、育て伝えていきたいですねbell

今回の記事は、とても勉強になりました。
ありがとうございました。

投稿: せりなずな | 2009年11月19日 (木) 08時19分


sunぷりんさま
パソコンだと、やっちゃうんですよね・・誤字脱字に誤変換・・手で書くと間違えないのに。
ビジネスの世界というより、ただの実社会ですよ。
このごろ、教育の世界(学校に通わなければならない子どもたちだけが持つ)の価値観のことを、虚社会とネーミングした新聞がありました。

みんなに優しく、みんなと足並み揃えて・・と教育されたのに、いざ社会に出ると、人と同じじゃだめだ、個性出せ! とか言われるんですよ。
それはビジネス界に限りませんし、そういう叙情的な気持ちを、持ってない人は、子ども時代も少年時代も、持ってないんですよね。恋愛にしたって、そう。痛い失恋とか離婚の一回や二回ぐらい、しといたほうがいいのかな、と、この頃は思いますね。
そこで自棄にならず乗り越えたひとって、自己反省してるから、優しさが育ってる。
皮肉なことですが、痛い目を見ないとわからないことって、大人になればなるほど、あるものです。
退屈な子ども時代ほど、お話や読書やマンガでもいいけど、物語に感情移入できるものだと思います。
感情移入しすぎて、読むのをストップする、というものも、少なくないですね。
わたし、ドイツのヒトラー政権のころの児童文学は(『あのころはフリードリヒがいた』など)未だに読み進むのが辛くて(物語の背景にある社会がシビアすぎる)、途中で挫折していますsnow

投稿: えつりん。 | 2009年11月19日 (木) 10時00分

wineえつりん様
今、こうしてとまどう若者が多いでしょうね。
まるで、ふんわかしたお菓子のように
育てられている子が 多そうです。

「子どものけんかに大人は口をださない」で
子ども同士で、社会を学んでいればよかったはず。
なのに「いじめ」の話もあるし。。sweat01

無難にすごして、社会にでれば、ひと昔よりずっと、「情け知らず」になっている。
なっていますから。。。気の毒。。shock

投稿: ぷりん | 2009年11月19日 (木) 12時30分

童話のストーリーを聞きながら、先日聞いた講談を思い起こしました。
演題は忘れてしまったのですが、助けた狐との間に子どもができて、やがて子どもたちとも分かれるお話です。落語にも狐はよく出てきますね。
きっと民話の流れをくんでいるのかもしれません。
切なくても、その先を想像させる終わり方は、優しい心をより育んでいくように思いますね。

投稿: アルキメデス | 2009年11月19日 (木) 17時24分

情け知らず・・びびっと来ますね(・_・、)
まるで戦禍に身を晒すような事態に、人々は、陥っているとしたら、
そういう「情けはひとのためあらず。」のような心境には、ならないのでしょうね。
こころに余裕を、持ちたいものです。

(クラッセにコメントありがとう。)

投稿: えつりん。 | 2009年11月19日 (木) 23時17分

eyeアルキメデスさま
「正体をみやぶられて、去る」のは、
異界のものと、人間との境界線は守らなくってはね。
という「きびしいおきてban」が
あるからですが、
日本の場合、夫も妻も「無言」で悲しさを
かみしめるカンジ。think
西洋では妻が「約束を破ったわね」
と怒ったり、pout
夫は、妻を捜しに旅にでたり。。。crying
日本人のやさしさって、理解されにくいはずだわ。
と、昔話を読んでて、気がつきましたspa

投稿: ぷりん | 2009年11月20日 (金) 07時29分

wineえつりん様
暗いニュースが多くて、見てると
戦渦にまきこまれているかのような
気分になったりするわ。shock
「情けが天下のまわりもの」に
なりますように!shine

投稿: ぷりん | 2009年11月20日 (金) 07時35分

>それに、そもそも人とは 「残酷」だったりしますので、小さなころに残酷を
「疑似体験」して、それを消化する訓練をしておいたほうが、いいように思います。<

共感致しました!happy01

お国柄の表れる昔話が、何時までも語り継がれるように願っていますheart02
でないと子供達が可哀想な気がして・・・crying(ゲームやアニメのお話にどっぷりと浸かっている現代っ子が)

投稿: aoba | 2009年11月20日 (金) 13時10分

う~ん、勉強になります。
物語にたくさんの登場人物がいるとき、そのどれになるかって、子供たちの性格によって違うのかなぁ、と思います。
それにしても、人魚姫と鶴の絵、対照的なイメージですが、どちらも素敵ですね。

投稿: asako | 2009年11月21日 (土) 09時08分

snailaobaさま
ゲームはねぇ。。あれは、はまる。。。
わたしもはじめると、やめられないのでsweat01
今はさわらなくなりました。ban
これから、ゲームで育った子
ばかりの社会になりのかな?
こわいわ。。。shock

投稿: ぷりん | 2009年11月22日 (日) 11時15分

cakeasakoさま
わたしも、少し大きくなると、
ワキ役に目がむいてきたりもしたわ。eye
でも、好きだのは「ままこいじめ」の話。
いじめられて、いじめられて、crying
最後には、意地悪な継母がいなくなってくれて
幸せになって、嬉しかった。shine
どういう死に方をしたのか、覚えていない。japanesetea

投稿: ぷりん | 2009年11月22日 (日) 11時21分

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