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2009年11月15日 (日)

「ブレーメンの音楽隊」を読み解く(その3)

四匹は 食べ終わると、それぞれ自分に ぴったりの 寝床をさがしました。
ろばは 納屋のわらの上で、犬は、扉のかげに、猫は かまどのそばに
寝そべりました。
おんどりは 天井の はりに とまって、休みました。
みんな、疲れていたので、すぐに 寝入ってしまいました。

真夜中が すぎました。
どろぼうたちは 明かりが消えた家を こっそり 見ていました。
家は しんと、静まり返っています。
「おれたちは、ちと、あわてすぎたようだ」
どろぼうの親分は 言いました。
「あんなに びくびくすることは なかったかも知れない」
そして、子分のひとりに、家の様子を 見てくるように 言いつけました。
Photo
子分は、そうっと、家に しのびこみました。中は、真っ暗です。
明かりを つけようと、台所へ行くと、光っているものが あります。
「おや、うまい具合に かまどの火が 残っているぞ」
火を もらおうと、マッチを かざすと、「ふうぅぅぅー!」と、うなり声!
いきなり、顔を ばりばりっと 引っかかれました。
そうです。かまどの火と おもったのは、猫の らんらん光る目 だったのです。
しかし、子分は わけがわかりません。びっくり、あわてて 逃げようと 
扉に もどると、こんどは、犬のしっぽを ふんづけてしまいました。
怒った犬は がぶりと 足にかみつきます。
「いててて。」子分は、ますます、あわてて、庭へ駆け出します。
と、ろばが 飛び出してきて、後ろ足で 子分のお尻を 思いっきり 蹴り上げました。
「きゃああああ」子分の悲鳴で 目をさましたおんどりが、すさまじい声で
鳴きます。「こけーっ、こけーっ!」と 鳴きました。
8
ころがるように、逃げ帰った 子分は 言いました。
「お、親分、あの家には 魔女がいる!
おいらの顔に 息を吹きかけたと思ったら、長いつめで 引っかきやがった!
扉には ナイフをもった男がいて、足を刺しやがった!
おまけに、庭には、真っ黒い怪物が 待ち伏せていて、
そいつが、こん棒でなぐりやがった!
それだけじゃない。
屋根には 裁判官がいて「悪党はどこだ?!」と、どなっていやがる。
おいらは、もう、おそろしくって、おそろしくって、
むちゅうで、逃げてきたんでさぁ」
どろぼうたちは、これは 大変と 森から逃げだし、家には 二度と
近づきませんでした。
9

いっぽう、四匹たちは、この家が すっかり 気に入ってしまい、
もう どこへも 行こうとしませんでした。
みんなで いつまでも 幸せに 暮らしたと いうことです。

このお話はね、さっき聞いたばかりのほやほやのお話なのですよ。
10
●昔話は「不幸から幸福になるお話」と 申し上げましたが、それは
①身の安全の確保 ②富の確保 ③幸せな結婚 の3つが ほとんどです。
この場合、①ですね。
ブレーメンに行かなくとも、幸せになってしまいました(笑)
ただ、日本のお話には「鶴の恩返し」のように 誰が幸せになったのか?
解決のつかないお話が多い。。。これが 日本人の独特の美学といえそうです。
●昔話は「主人公 の安全を確保する」お話です。
よく大人の感覚で「どろぼうだって、おおかみだって、魔女だって、かわいそう。
ごめんなさいとあやまれば、許してあげましょう」とラストを改訂してしまうことが
多い。しかし、それは、幼児期においては、まちがいです。
原文では、主人公の敵は二度と姿をあらわさないか、
死んでしまうかと決まっています。
では、なぜ、そうなのか?これは、また次回お話します。
●終わりのおきてで、「おしまい!」には、いろいろな言い回しがあって
楽しいです。ヨーロッパですと「死んでいなければ、今生きているでしょう」が
一般的?。日本ですと。「どんと、はらい」「とっぺんはらり、ぷう」など、
西洋、日本とも「さぁね、ほんとうどうか、知らないけどね」といったとぼけで
終わります。ここが、おとぎ話の余裕です。

長いこと、教えてくださった、小澤先生のご協力でつくった「映像紙芝居」が
あります。次回はそれを、ご紹介したいと思っています。

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コメント

ぷりん様

>よく大人の感覚で「どろぼうだって、おおかみだって、魔女だって、かわいそう。
ごめんなさいとあやまれば、許してあげましょう」とラストを改訂してしまうことが
多い。

ひとを傷つけたらごめんなさいと言うことは基本、とても大切だと思うけど、
だからって、許されない罪もあるということを、
いったい、誰が教えてくれるのでしょう。

>しかし、それは、幼児期においては、まちがいです。

さて、純粋な子どもほど、洗脳されてしまうでしょう。
それは、人生の中で読書をしていく上で、とても不毛なことだと考えています。
お話の読み聞かせを聞くことも、同じ。
くだらない大人たちの言うことなんか聞かないで自分で考えるために、好きなお話を、選んで来たのだと私は、思いますね。
幼児のうちは、身の回りが、世界のすべてです。
手の届くところ、見える場所、手に触れることができるもの、聞こえてくる音や言葉。
大人の理想ときれい事は、うんざりです。

投稿: えつりん。 | 2009年11月16日 (月) 00時56分

wineえつりん様
そうそう。よくぞ、言ってくれました。happy01
小さな子には、自分の身の回りがすべて。
自分が「愛されている」という確固たる信念が
育ってないうちに、大人が形式的に、
「さあさあ、ゆずってあげましょう」
なんていったら、『信じてもらっていない」
と思ってしまいますよ。gawk
子どもが自分で、考えたいところを
大人が先回りして、きれいごとをいってみたら、
しらけちゃいますしね。japanesetea

今回、小澤先生のご本をずいぶん読み直しました。
次回は、講義をまとめてみます。happy02

投稿: ぷりん | 2009年11月16日 (月) 07時18分


wineぷりんさん
>「さあさあ、ゆずってあげましょう」
なんていったら、

うわーーー押しつけがましーーーーーあるある、そういう経験。coldsweats02

>『信じてもらっていない」
と思ってしまいますよ

だよねー・・
そういう確固たる信念は未だに育っちゃいないけど(無意識の領域? )、
信じてもらってない、というよりも、じゃー先生あんたが実行しろよ! なんて小学校高学年の頃には既に思ってましたよね・・・
あの頃の小学校教師はすごかった・・・聖職でしたからね。
ああ・・悔しい想い出が蘇る・・・中学生になってから大人から聞いた話は、
そのオールドミスの依怙贔屓・口だけ・意地悪・生徒いじめ&嫌がらせ、の女教師って、
前いた小学校で妻子持ちの男性教師を道ならぬ事をして、飛ばされて田舎の小学校(私が通ったところ。)にやってきた、ということだったのだそうでした。
ストレス溜まってたんだろうなあ・・当時50歳ぐらい。
よい反面教師に恵まれた、えつりんの物語でしたとサ・・・new

投稿: えつりん。 | 2009年11月16日 (月) 19時15分

『このお話はね、さっき聞いたばかりのほやほやのお話なのですよ。』
子供にとって、最高の終わり方ですね。
誰かから聞いた話→本当の話かもしれない→誰に聞いたんだろう→誰かに話したいなあlovely
心に残りますね。きっと!

日本の昔話を読んでいると、かなりすっきりしないお話が多いことに、大人は???ですが、
子供にとっては、出来事そのものが楽しいようです。
矛盾も、納得いかない終わり方も、
子供は、あ~おもしろかったhappy01
それで、良いんですよね。

投稿: せりなずな | 2009年11月16日 (月) 20時10分

どの絵も動物とどろぼうがリアルに描かれていて、
お話の内容が手に取るようにわかりますねart
何時もながら、先生の手腕にうっとりですhappy01

ご心配い頂きましたが、父が先週の土曜日に退院致しました。
アキレス腱も少しついてきまして、無理をしなければ普通に歩けるようになるかも?しれません。
とにかく、車いすにはならなくてすみました。
あたたかいお言葉を頂きました事、
お礼申し上げますapple

投稿: aoba | 2009年11月16日 (月) 20時55分

ということは、聞いてすぐ描いたシンセンホヤホヤだということかな。
色がブルー系になっているなあ〜
20日は、平井君のところへ行くの!?

投稿: アルキメデス | 2009年11月16日 (月) 22時42分

 今晩は~!  初めまして! ぷりんさん~☆
今日は、拙い私のブログにお越し頂きまして、有り難うございます。

 本当に素敵なブログですね~!
こちらの絵も然る事ながら、「紅葉の唄」の絵も、
ほんのり、ほのぼの・・日本の心の風景のような気がして・・。
心から癒やされました。有り難うございます。

 私は絵、ド素人ながら大好きです。
又、伺わせて頂きます。どうぞ、よろしくお願い致します。

投稿: リラ | 2009年11月16日 (月) 23時39分

wineえつりん様
子どもって、大人の上っ面をすぐ見抜きますよね。
大人が「本気」でないと、子どもも「本気」
になってくれない。angry
わたしも、学生時代は、ものすごく
かわいがられたり、heart02ものすごく
うっとうしがれたりbomb。。。
極端だったわね。coldsweats01

投稿: ぷりん | 2009年11月17日 (火) 07時21分

cloverせりなずな様
この「ほやほや」の訳は、実は
ぷりん流です。happy01
直訳すると、『話した人の口は、スープを
のんんだあとのように、まだ温かい」というらしい。
でも、ぴんとこないので、danger
直してみました。

お話は、「こう感じてほしい」で、
いじくるのではなく、、
子どもの感じるままを大事に
してあげたいですね。present
「あ~。おもしろかった」で、ずうっと、
語りつがれてきたのですものね。heart04

投稿: ぷりん | 2009年11月17日 (火) 07時30分

eyeアルキメデスさま
展開がかわったので、絵の色も変えてみました。
この絵はもう、7,8年前の絵よん。
再利用ね。coldsweats01

20日はうかがわないけど、
アルキメデスさんも、思い切って、
いってらっしゃいまし。run
denim平井くんの、声って、とってもいい!
ひとりでも、楽しいかったわよ。notes

投稿: ぷりん | 2009年11月17日 (火) 07時40分

snailaobaさま
そう!お父様、無事退院!
おめでとうございます。tulip
車いすにならなくて
ほんと、よかったですね。heart
付き添いも大変でしたけど、何よりですね。

これで、また、ゆっくり絵に精進
かしらんart
この絵の空いているところには
実際は文章がはいって、印刷されました。book

投稿: ぷりん | 2009年11月17日 (火) 07時46分

cherryリラ様
まぁ、そうそうにいらしてくださって
ありがとう。
リラさんのブログは、リラさんの世界観が
満載!美しく、ロマンチックでした。lovely
また、遊びにうかがって、
くるくるいろいろ読んでみたいと
思っています。eye
赤毛のアンもよみなおそうかなぁ。virgo

投稿: ぷりん | 2009年11月17日 (火) 07時59分

ぷりんさん、こんばんは。
なかなかコメントできなくてすみませんでした。
ブレーメンと音楽隊のお話、子供の頃好きだったお話のひとつです。絵もとても雰囲気があって気に入りました♪

ぷりんさんの絵、綺麗でユーモラスで温かでちょっと怖さもあって、本当に素敵です。
これからも楽しみにしています♪

投稿: sachi | 2009年11月24日 (火) 00時21分

ribbonsachi様
ブレーメンを、はじめグリムには、楽しい
お話がいっぱい!気に入ってくださって、
嬉しいわ。happy01
sachiさんのマネをして、たまには
catの話題を!と思い、うちの猫の写真を
とってみたりするのですけど、
どうも、上手にとれないの。weep
コメントは大変ですから、気にしないで
ときどき、のぞいてくださいな。eye

投稿: ぷりん | 2009年11月24日 (火) 06時55分

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