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2009年9月16日 (水)

京都の伝説「戻り橋の鬼」おわりに

このお話は 京都堀川一条にあって、洛中と洛外をつなぐ 小さな橋に
まつわる伝説を再話してみたものです。

そもそも「戻り橋」と呼ばれるようになったのにも伝説があります。
ある男の葬列がこの橋をわたっていた。
そこへ死に目にあえなかったようやく息子がかけつけ、父の名をよんだ。
すると、死者だった父が、いっとき生き返り、対面を果たせた。。というもの。
この橋は、現世からあの世(異界)にはいる入り口だったのです。

そして主人公のさむらいは「渡辺綱」。
今回は、みやこ人の代表として、一般的な人物像に書きましたが
実は、源頼光の家来で 大江山の酒呑童子退治にも同行した 
対魔物のエキスパートです。
その鬼退治の際、ただひとり逃げ延びたのが、今回の鬼「茨木童子」。
ですから、このお話は「意趣返し」と考えてもよいのですが、
別の説もあります。
この鬼は、もともと「女」。。。あの有名な「宇治の橋姫」だったというのです。
橋姫は、夫の愛情を失い、後妻となった姫に、激しい嫉妬を抱き
神様に祈願。
「どうぞ、わたしを鬼にしてください。あの女を取り殺してやりたいのです」
そして21日間宇治川にひたって、生きながら鬼となった姫です。
彼女は、後妻のみならず、縁者ともども。。。しまいには、だれかれとなく
殺すようになりました。そのため、都は大変ぶっそうになり、
渡辺綱が、見回りを敢行。一条の橋のたもとで、橋姫と遭遇したのだと
いうのです。おもしろいですね。
12
どちらにも、共通するのは、かならず 斬られた腕を 取り戻しにくる
ということです。
そして、かならず まんまと鬼の罠にはまって、腕をとられてしまうことです。
どうしてでしょう?ひとつぐらい、正体を見破って、とられる前に戦うお話が
あってもよさそうですが、みあたりませんでした。
異界のものは異界に帰ってほしいという願いと畏れでしょうか?
私はそれだけでなく、「異界のものは 異界に返さないといけない」
といった、昔の人の「けじめ」が、見えるような気がするのです。
おそろしいものに対する「敬意」かも知れません。
「茨木童子」を祭る祠もあるそうですし、「橋姫神社」もあります。
恨みをなだめて、祭ることで、その力を現世で役立ててもらおう。
というのが、古来からの日本の心のありかたです。
悪や異物を徹底的に退治したり、征服したりするようなことはしないで
共存の方向性をさぐっていきます。
私が、伝説などがすきなのは、こんな自国の本来の姿を見ることが
できるからです。

ちなみに、京都の方は今でもお嫁にいくときは、この戻り橋をわたらないとか。
戻ってきては、困りますからね(笑)

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5百物語」カテゴリの記事

コメント

大江山の鬼退治!茨木童子!
も~わくわくする言葉です。
こういう会話ができる友達は、なかなか今までいませんでしたから。感激!感動!
一度、京へも足を伸ばして「戻り橋」も見てみたいですbullettrain
もちろん、渡りません。
戻ったら、困りますからhappy02

投稿: せりなずな | 2009年9月16日 (水) 20時21分

cloverせりなずな様
そうですね。私のまわりは「和好き」の方が
多いけど、こういった話題を
つっこんで話す人はいません。coldsweats01
私は、ひとり。独学でこつこつ調べてひそかに
楽しんでいるカンジ。。book
ですから、せりなずなさんが
「反応」してくれるのが
新鮮!感動!です。fuji
ブログやってよかったわ。

投稿: ぷりん | 2009年9月17日 (木) 09時24分

とても面白いお話ですね。
とくに「異界のものは異界に帰ってほしいという願いと畏れ」
昔の人の思いは、今も変わらないのかもしれませんね。
鬼への同情が生まれてきますが
ただそれにしても怖い・・・鬼の姿と女性の嫉妬 です〜〜

アルキメデスは、来週は秋田から遠野へ・・・
柳田邦男の民話の旅に出かけます〜 ♪。

投稿: アルキメデス | 2009年9月17日 (木) 20時18分

「異界のモノは異界に返さないと」、私もそんな戒め話を聞いたことがあります。
やはり、互いに領域というか、けじめが必要なんでしょうね。
それにしても、ぷりんさんのお話を聞いていると、「地元の民話を探してみようかな」と思えてきました。
今度ネットや図書館で探してみたいと思います。

投稿: Sey | 2009年9月17日 (木) 20時59分

eyeアルキメデスさま
鬼の形態の歴史をたどると、初期のものは
圧倒的に「女」が多いそうです。
「悋気」のせい?
橋姫は元祖「うしの刻参りガール」shock

「遠野」にゆかれるのね。
いいな。いいな。すてき。shine
ぜひ、おかえりになったら、お話をきかせて
ください。もし、偶然、よい本をみつけたら、
買ってきてくださいな。happy01
お代は、きちんと、払いますから。

投稿: ぷりん | 2009年9月18日 (金) 06時55分

piscesSayさま
私も、南の国の話もやってみたいと思って
ちょっと、調べをすすめています。
「くじらとり」の話も多いのね。wave

きちんと、定まった価値観があって
身分をわきまえて生きてるほうが、心落ち着く
部分も多いような。。そのなかで「オンリーワン」
で楽しんでみたいです。happy02
とと太郎たちは、また、大きくなったかな?lovely

投稿: ぷりん | 2009年9月18日 (金) 07時04分

ぷりんさん、はじめまして♪
こちらにもお邪魔しました^^
う~ん、素晴らしい作品がいっぱいで、過去記事も少し読ませていただきましたが、楽しみです。
小学校でボランティアで読み聞かせをしているのですが
今度は民話にしようかなって思いました。
日本の昔話や民話は鬼、龍、おろち、山姥が出てきてドキドキする話が多いですよね。そして縁のある神社が残っていたり。
そういえば、次女が幼い頃は「3枚のおふだ」が大好きで!?
何度も何度も読みましたよ。

ぷりんさんの絵、本当に迫力がありますね。そして美しい。紙芝居も描かれているのでしょうか?

あゆみさんのご縁でこうしてお話できて嬉しいです♪
またお邪魔させていただきますね!

投稿: sachi | 2009年9月19日 (土) 01時11分

おはようございますwink
紅の着物をまとった鬼の絵が、悲しげに映りましたweep

異界の者とむかしの人の「けじめ」のお話、とても深いものを感じます。

今回もぐぐっと惹き付けられる絵やお話を有難うございましたheart02

投稿: aoba | 2009年9月19日 (土) 09時36分

boutiquesachiさま
そうですか?絵本の読み聞かせを!
ぜひ、日本のお話も演目に?いれてくださいな。
最近はほんとに、知らない子供が多いのです。
日本の童謡も唄えないようです。wobbly

でも、「3枚のおふだ」が、大好きなお嬢さん
のような子供がいるのは、心強いです。annoy

紙芝居のお仕事もしたことが
あります。こちらも、絵本とはちがう
臨場感!楽しいですよね。wave

投稿: ぷりん | 2009年9月19日 (土) 09時37分

snailaobaさま
お父様の具合はいかがですか?
病院通いでお忙しいところ、
どうもありがとう。happy01

着物は好きだけど、、柄を描くのは
めんどうです。wobblyせっかくだから、
16日には、この絵も展示してみようかな?
「江戸」ではないけど。typhoon
いろいろ、あっても楽しんでもらえるかしら?

投稿: ぷりん | 2009年9月19日 (土) 09時46分

先生こそお忙しい中typhoon私のブログにお越しいただいてコメントまで・・・crying
ありがとうございますnotes

着物の柄は細かいのでshock
先生でも大変なんですねcoldsweats02

まぁ、この絵も展示されるのですねlovely
江戸ではなくても、皆さん喜ばれると思いますsun

私は父の入院が延びましたので伺えませんcrying
すみませ~んrain

季節の変わりめ、新インフル、先生もお体御自愛下さいねhospital

投稿: aoba | 2009年9月20日 (日) 11時27分

snailaobaさま
aobaさんのお顔をいろいろ想像して
おりましたので、お会いできず、ちょっぴり
残念です。でもお父様の看病ですもの。
そちらのほうが、大事です。angry

今の別の絵で、柄柄描いてます。
でも、夜は仕事をしないので、
いつも子供のようにはやく寝てます。clock
引きこもりなので、インフルエンザには
ならないはず???door

投稿: ぷりん | 2009年9月20日 (日) 18時55分

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