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2009年8月21日 (金)

万葉集を学ぶ その5

そもそも、この万葉の時代「自然」という言葉がなかったそうです。
いちばん近いのが「おのずから」という言葉だったとか。
つまり「ありのまま」を観察する感覚はなく、
すべての現象は「おのずから」おこったこととして、
とらえていたそうです。
このあたりの講義は、とてもむずかしく、、
わたしの解釈が正しいかどうか、自信がないのですけど、
風はふくときにふいて、死は訪れるべきとき訪れる。。。
といったことかしら。。。と聞いておりました。

では、なぜ、人は歌を詠むのか?
歌の美しさって何だろう?
講義を通して考えると、それは「おのずから」を
わかっていても受け入れられない「人の性」にあるからではないか?
「もののあわれ」「あわれむ」といった心は、このへんから
生まれたのではなかろうか?と思うしだいです。

さいごに、こうした解釈から
額田王の有名な歌をひとつ、自己流で 訳してみます。

近江(琵琶湖のほとり)に都を移すことが、突然決まりました。
額田王は中大兄皇子(のちの天智天皇)にしたがって
住み慣れた飛鳥を去らねばなりません。
朝な夕なに見慣れた三輪山ともお別れです。
道すがら、額田王は、振り返って歌を読みます。

三輪山を しかに隠すか 雲だにも
心あらも 隠すさふべしや

(雲よ、三輪山を どうしてそのように 隠すのですか
せめて あなたぐらい思いやりがあってほしいのに。
わたしは、神さまに お別れを言おうとしているのですよ。
そのように 隠してよいものですか)

額田王は、自分たちが祭ってきた三輪山に宿る神の心を
なだめるためにも、なんどもなんども、振り返ったのでは
ないでしょうか?
でも、雲は青山を隠してしまいます。
「雲行きが怪しい。。」彼女の心には、暗い予感が
湧いてきたかもしれません。

そして、近江の都は、たったの5年して、
壬申の乱によって、戦場となり ほろびてしまいました。
近江には、聖なるものの加護がなかったからなのか?
都は、ふたたび飛鳥という盆地に、もどりました。
(おしまい)
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6歌会便り」カテゴリの記事

コメント

すごい読みですね〜
短い歌を詠み広げることは、自分を発見しながら導かれるような
気持ちになりますね。
それが、絵となって伝えてくるのですね。。
歌会に来てください。
見学、OKなんですよ〜〜。

投稿: アルキメデス | 2009年8月21日 (金) 16時12分

万葉の時代は、全ての物が自然と一体だったのでしょうか。
依正不二という仏教用語があります。
自身もその環境も二ではないと言う意味です。
自分とその周りの物全てを、切り離して考えてはいけないということだと解釈しましたが…難しいですね。

額田大王は、井上靖さんの小説のイメージがふ~っと甦ってきました。

『おのずから』に逆らっていく人間たちに、
『おのずから』は報復するのでしょうか。

投稿: せりなずな | 2009年8月21日 (金) 16時29分

eyeアルキメデスさま
ようやく、この記事をかきあげて、ほっと
しました~。wobbly
歌会、覗いてみたいです。
きちんと、お勉強して研鑽をかさねた方たちと、
一緒は気がひけますが、こんど、つれていって
くださいな。shine

投稿: ぷりん | 2009年8月22日 (土) 08時19分

cloverせりなずなさま
「依正不二」ですか。さすが!せりなずなさん!
お勉強になりました。confident
「寄り添って正しいのであって、二つではない」のね。
わたしも「井上靖」を、読み直しているところ
です。
「おのずから」の境地になれればいいのに。。。
世の中も、自身も。。。weep

投稿: ぷりん | 2009年8月22日 (土) 08時25分

フルベッキ博士の写真は贋物の説が有力なので一時凍結してポンペ、ヘボンあたりを料理しようと考えています。万葉と言えば真間の手古奈は取材しているのでいつかやりたいです。千住からその真間あたりまで奈良朝廷の古道(江戸期以前の東海道)が今でも残っているのですよ。現在はそのほとんどを京成電鉄が使っていますが、京成の線路はそんな訳で今でも奈良朝廷とつながっているのが不思議ですね・・・・

投稿: ガマ蔵 | 2009年8月22日 (土) 08時52分

moneybagまぁ、手古奈!すてき。ぜひ、やってくださいな。
美しさゆえ、悲劇の伝説。virgo
わたしも、やってみたいな。happy02

京成の線路trainが奈良時代の道!知りませんでした。
奥州討伐への道かしら?
こちらも、大変興味深いです!

投稿: ぷりん | 2009年8月22日 (土) 11時24分

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