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2009年7月23日 (木)

岩手の昔話「たろうの笛の音」最終話

それから どのくらい たったでしょう。
秋がすぎ、冬になりました。
ある晩のことです。

ひゅ~ ひゃらり ひょ~

笛の音が きこえました。
どこから きこえてくるのか わかりません。
でも、おかあさんには わかります。
「たろうだ。たろうの笛の音だ。」

ひゃらり ひゃらり ひゅ~らり ひょ~

「たろう、病気はなおったのだねぇ。
たっしゃなのだねぇ。」

と、すーっと 風がはいりこみ、
なんともいえない よい香りが はこばれて きました。
「ああ、お姫さまと いっしょなんだね」
おかあさんには わかります。
「そうか、そうか、幸せなんだね」
Taro11
それからというもの 笛の音は 
毎晩 きこえてきました。

ひゅ~ ひゃらり ひょ~

笛の音は 高くなったり 低くなったりしながら
おかあさんの家に しみこむように 響きます。

やがて いつのまにやら 家のまわりに
けものたちが あつまるように なりました。
うさぎも たぬきも きつねも さるも います。
鹿も いのししも います。
おそろしい おおかみさえも 目をとじて
じっと おとなしく 耳をたてているのでした。
Taro12
たろうは、もどらないけれど、
おかあさんは もう ひとりぼっちでは ありません。
笛の音を ききながら、けものたちと
なかよく ねむりました。

ひゅ~ ひゃらり ひょ~
ひゃらり ひゃらり ひゅ~らり ひょ~
Taro13 (おしまい)

おはなしの解説は記事で書きます!

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コメント

たろうとお姫さまが戻ってきて、お母さんと暮らすのかな
と想像していましたが、笛の音というたろうの分身が
お母さんを包んだんですね。
生きている、存在しているから満たされていくのですね。
美しい精神世界の民話だと感じました。

投稿: アルキメデス | 2009年7月23日 (木) 13時20分

eyeアルキメデスさん
少し、淋しいおわり方でしたけど、
その分、せつないくて、きれいなお話でした。
そうね、アルキメデスさんのおっしゃるとおり、
笛の音が、息子の分身ですね。
そして、けものたちが、息子のかわりに
おかあさんを守ります。

投稿: ぷりん | 2009年7月23日 (木) 15時46分

涙がでてきました。

お母さんは、この後もずっとたろうの存在だけを感じて生きていく…これも、辛くないのでしょうか。
たろうは、かめの姫と生きていく使命があったと言うことかもしれませんが…

でも、本当にきれいなお話でした。
ぷりんさん、お疲れさまでした。

投稿: せりなずな | 2009年7月23日 (木) 16時30分

切ないけれど、どこか優しい終わり方でしたね。
お母さんが泣いて暮らすだけでなくて、ホントによかったです。

離れていても、互いを思う母子の気持ち。
美しい絵で彩られて、とってもステキなお話しでした。
ぷりんさんに出会えて、このブログを知ってよかった!

これからも、遊びに来ますね。

投稿: Sey | 2009年7月23日 (木) 20時43分

こんばんは。

夜の描き方、光の当て具合、光の配分等、勉強させて頂きました。

ため息が出るほど、艶っぽい絵ですね♪

お話は悲しいですが、さらっとして、きれいなお話でしたね。

次回も楽しみにしています。

投稿: aoba | 2009年7月23日 (木) 22時39分

cloverせりなずなさん
わたしも、書きながら、うるうるしてしまった
りして(苦笑)。。。「いけない、いけない、
客観的にならなくては」と、自分をいましめたり
していました。仕事では、淡々としているのですけど、
ブログですと、自分の書きたいものを描けるので
思い入れが強くなってしまいます。。。
いい面と悪い面と、ありそうです。

投稿: ぷりん | 2009年7月24日 (金) 06時54分

piscesSeyさま
最後まで、読んでくださってありがとうございます。
Seyさんのコメントは、どこかとてもやさしい。
お人柄なのでしょう。
わたしも、Seyさんの睡蓮鉢の
稚魚のゆくすえが気になります。
遊びにゆきますね。

投稿: ぷりん | 2009年7月24日 (金) 07時02分

snailaobaさま
今回の色のテーマは「青」。
舞台も水に関連してもしたし、
切ないストーリでしたし。。。
ちなみに「赤い月」は「赤」。
お話のふんいきにあわせて、テーマの色を
考えるのも、楽しいですよ!

投稿: ぷりん | 2009年7月24日 (金) 07時06分

とてもステキな絵。それに、悲しいけれど温かいお話でした。幸せというのは、家族の中のものだけでなく、生き物、違う世界も含めてなのかもしれませんね。

投稿: asako | 2009年7月24日 (金) 23時10分

cakeasakoさま
奥深いコメント、ありがとうございます。
わたしも「幸せ」の位置というのは、
自分が欲する場所だけでなく「いなければいけない
位置」で見つけるのが、本当のように思っています。
でも、人の心は、わがままです。
自分も不平の多い人間です。おのれの欲が
ときどき、悲しくなります。

投稿: ぷりん | 2009年7月25日 (土) 17時17分

久しぶりでお訪ねしたら・・・なんと「青」も完結しているではありませんか・・・

透明感のあるお話ですね。岩手の青い空も思い出されます!!

こんな次々とお話がわいてくる(再話というものの)
ぷりんさんの頭の中 のぞいてみたいです。

投稿: 晶子 | 2009年8月 3日 (月) 01時34分

tulip晶子さま
まぁ、読んでくださってありがとう。
とってもうれしいですlovely
このお話は、結構、力をいれました。
「赤い月」の映像ができたら、また柴山氏に
相談してみます。

投稿: ぷりん | 2009年8月 3日 (月) 06時44分

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