« 静岡の伝説「ふたつの赤い月」その3 | トップページ | 万葉集を学ぶ その1 »

2009年7月 3日 (金)

静岡の伝説「ふたつの赤い月」最終話

ひょー!矢が風をきります。
続いて、ぐぶっ!ぐぶっ!と、にぶい音。
とたん、赤いふたつの光は 狂ったように
みだれとびました。
あたりの木は、なぎ倒れ、崖はくずれ、
山鳴りがとどろきました。
おろちは、大岩に身を打ちつけながら、
ぐわん、ぐわんと、のたうちまわっておりました。
8

七日七晩がたちました。
ふもとの村まで ゆさぶっていた山鳴りは
ようやくおさまり、ゆるゆると霧がはれました。
村人たちは、おそるおそる 山に行ってみました。

すると、岩のあいだに 姉と妹が
しっかりだきあったまま、はさまれておりました。
村人たちは、あわてて ふたりを助け出しました。

そして、その少し離れたところに
見たことのない大きな沼を見つけました。
なんと、沼は 赤く赤くにごっています。
ぶきみな泡が ぐぼぐぼ、ぐぼぐぼと
わきあがっておりました。
9

それからというもの ふたつの赤い月を見たものも
おろちを見たものもおりません。
姉と妹は、村にとどまり、村人たちに慕われて
いつまでも 幸せにくらしたということです。
10 (おしまい)

このお話は南伊豆、婆娑羅山に伝わる大蛇伝説を
アレンジしたものです。
大蛇の血がしたたって池のごとくなったという沼は
「池代」と呼ばれ、のちに「血源寺」という寺を建てて、
大蛇を供養したといいますが、今では残っていません。
しかし、大蛇の骨を埋めたとされる「蛇骨山大蛇院」は
なまって、「大地院」として、現存しています。

わたしは、この伝説にある「怖さ」より
姉妹のけなげな様子が魅力的で 再話してみました。
美しくかよわかったふたりが、父のかたきううちを決意。
弓の修行にはげみます。きっと、細かった腕は
すっかりたくましくなったことでしょう。
その一途な思いを 神様はしっかり受け止めてくれました。
きちんと努力をすれば、ちゃんと見ててくれる人は
いるのですね。
そして、みごと本懐を遂げます。めでたし!です。

物語の舞台は、赤い月と赤い沼。白い霧と白い姉妹。
黒い闇と黒い大蛇。色の対比。静と動の対比も美しい。
神秘を描ける伝説といえましょう。 

|

« 静岡の伝説「ふたつの赤い月」その3 | トップページ | 万葉集を学ぶ その1 »

5百物語」カテゴリの記事

コメント

ステキだ! そのまま絵本になりますね。

投稿: asako | 2009年7月 3日 (金) 10時20分

cakeasakoさん
まぁ、はじめまして。よくいらしてくださいました。
楽しんでくださったようす。嬉しいです。
ありがとうございます。
このブログでは、好きな伝説や古典文学の再話を
挑戦しています。また、いらしてね。
asakoさんのブログにも遊びにいってみたいわ。
どうしたら、いいのかしら?

投稿: ぷりん | 2009年7月 3日 (金) 12時03分

なおとが帰って来るのを待ってて、二人で観ました。
膝に抱きながら観ると、怖くないようです。
沼の“ぐぼぐぼ”の所の絵が、とっても気に入ったそうです。

昨夜も、お風呂に入りながら、ふたつの赤い月の話になりました。今年は日食が観られるので、なおとは赤い月と話がシンクロしているようです。

次回はどんな作品か、今からとっても楽しみにしています。

投稿: せりなずな | 2009年7月 3日 (金) 15時51分

cloverなおくんを抱っこしながらの、ご鑑賞。。
ありがたいような。心苦しいような。。。
いつもいつも、ありがとうございます(涙)
次のお話はぐぼぐぼせずに(笑)
すかっと爽快なものを用意しましょう!
できるかな?

投稿: ぷりん | 2009年7月 3日 (金) 19時06分

ぷりんさんこんにちわhappy01
再話実行委員長ですnote
(と言ったらわかるでしょうか?)
「ふたつの赤い月」素敵なお話ですね。
絵がまた何とも・・!!happy02
「かえる展」も、お邪魔する予定です。
今から楽しみにしています。
私のブログに、勝手に「かえる展」のこと
載せてしまいました。
すみません・・。

投稿: | 2009年7月 3日 (金) 20時41分

こんばんは。
今日nakochanさんと「ふらここ」に行って参りました。
先生の絵を拝見し、構図の取り方、彩色、デザイン等々
すべてに感動致しました。
他の作家先生方の絵も素晴らしく、たいへん勉強になりました。
私の知らない画材で描かれたものが多数あり、一つ一つ
nakochanさんに「これはどういうの?」と聞き、お世話をかけてしまいましたが・・
有意義なひと時を過ごさせて頂きましたこと、ぷりん先生はじめ諸先生方、画廊の方、nakochanさんにこの場をお借りしお礼申し上げます。

投稿: aoba | 2009年7月 3日 (金) 23時02分

ふたつの赤い月
愚息が、「いいお話だね。姉妹の成長。描き方。この本が小学校の図書館にあれば、何時も ”貸し出し中” の札がたたっていそうだね。」と申しておりました。
この愚息、学校の机に図書館の本を山積みにし、本に埋もれていたそうです。
担任に「お母さん、本は3冊までと言い聞かせて下さい。」とよく言われていました。笑い!
寝ていただけかもしれませんが・・・。

是非、本にして下さいね。(^◇^)

投稿: aoba | 2009年7月 3日 (金) 23時21分

aries母さん
まぁ、読んでてくださったのね。楽しんでくださった
ようすで、嬉しく、ありがとうございます。
このブログで再話の勉強をしています。
「赤い月」は未来社「日本の民話」と雑誌の紀行文、
あと、ネットでいろいろ調べて、
アレンジして書いてみました。
再話勉強会では、お世話になります。
どうぞ、よろしく!
かえる展もお時間ありましたら、ぜひ!

投稿: ぷりん | 2009年7月 4日 (土) 06時32分

snailaobaさん
「かえる展」見てくださって、どうも
ありがとうございました。嬉しいです。
りっぱな先生方の絵がたくさんあるので、
ご参考にはなったようで、良かった!です。
nakochan先生には、2度も足を運んでいただいて、
恐縮です。

「ふたつの赤い月」では、息子さんに
ほめていただき、感激です。励まされ、
少し自信がつきました。
いつか、本にしたいなぁ。
がんばります。

投稿: ぷりん | 2009年7月 4日 (土) 06時47分

はじめましてsun

なんて言って、えつこでーすshine
お元気そうで何より!!
ブログをやっていたとは存じませんでした!
暑中見舞いの準備・・と思いつつ無精で、ぷりんさんのことを考えながら今しがた、寂しくネットサーフィンしておったのです(笑)
発見shine
私のほうの近況は仕事先で、ここんとこ親しくなったフランス人から成り行きでフランス語を教わっています。
やきもちやきで西洋人コンプレックスの夫は、おもしろくないようです。
あとは先月、学会で名古屋に行ってきました!
他には、とくにいつもと変わりなく、忙しいようなヒマなような夢中なような退屈なような毎日です(笑)

梅雨なので、御自愛くださいね。

投稿: えつりん。 | 2009年7月 4日 (土) 21時17分

追伸。
私も英語の友だちに誘われてブログ、つけたんだよ!
まだ2回しか書いてないですよ!

投稿: えつりん。 | 2009年7月 4日 (土) 22時47分

おななしの中の色がきれい!
ぷりんさん色彩感覚ゆえですね。

声に出して読んでみたいものばかり。(*゚▽゚)ノ
録音しましょうか・・・・

投稿: 晶子 | 2009年7月 5日 (日) 00時13分

wineえつりんさん
まぁ、よくぞ、ここを発見しましたね。
ありがとう。
さっき、えつりんさんのブログにいってみました。
お仕事、語学の勉強とお忙しそうですね。
コメントを。。。と思ったけど、
うまくできないの。。。どうしてかな?
また、こんど呑みましょう。

投稿: ぷりん | 2009年7月 5日 (日) 06時05分

tulip晶子さん
このお話、柴山氏に紙芝居ふうに仕上げて
もらおうかしら?と考えています。
晶子さんが読んでくださったら、ぐっと
パワーアップね。
あとで、ご相談させてくださいませ。

投稿: ぷりん | 2009年7月 5日 (日) 06時10分

ぷりんさん。
ご存じ寂しがりやなので、ぷりんさんの絵でも検索して眺めてみようとしたら、りっぱなHPがどーんと出てきたのですね。
前はなかったのに、すごい、すごい!!

ブログ飛んできてくださったのね、ありがとうshine
あれはクラッセの会員の情報登録をしないとコメント入力できないようになっているみたいです。
それでも、ブログを読めたっていうことは全体公開になっているってことだから、一ヶ月に一回ぐらいは何か書こうと思います。

カラリストの知り合いに誘われて、一主婦としてやっているもので、朝からおはよう奥さんとかいうメルマガが届いたりして、なかなか便利です。
とはいっても、ちっとも奥さんらしくなりませんが・・pen

また、おいしいお酒を、呑みましょうね!
そいでもって、フランス語も、ちょっとずつ覚えていますので、乞うご期待shine

いつか一緒に仕事したいですね。
結婚式、来てねbell

投稿: えつりん。 | 2009年7月 5日 (日) 13時42分

wineえつりんさん
えつりんさんのブログには、
クラッセの会員登録をして、ログインできました。
でもね、クラッセでブログをはじめるわけにも行かないのでそれ以上はしていないの。
もっと、クラッセさんには開放的になって、
いただきたいわ。

ようやく、結婚式!?呼んでいただけるなら、もちろん
うかがいますよ。もうすぐ、ダンナさまの赴任先に
行くのでしょう?どちらなのかしら?
フランスなのかしら?

投稿: ぷりん | 2009年7月 5日 (日) 18時33分

lovely
小3の息子が、「お母さん、ぷりんさんのお話の続きまだあ??」と毎日聞いてきました。
先ほど就寝前に膝にのせ、読ませて頂きました。
今回もすっかり魅了され、息子の表情を見ましたらどこか別の世界にいってしまっているかの様でした。読み終えると「おもしろかったあ。それで怖かったあ。吸い込まれたあ。また読んで!」と言っておりました。
おこがましいのですが、息子は絵本が大好きですが、好みがはっきりしています。毎晩読み聞かせをしておりますが、興味のない本はそれっきり、、でも好きな本、魅力的な本は何度でも読んでほしいとせがみます。息子はぷりんさんの絵とお話が大好きだそうです。

かえる展、お邪魔いたしました。先にコメントを頂戴しまして恐縮でございます。
nakochan先生だなんてとんでもありません!!
前回お邪魔したときに画廊の方に教えていただいたことを含めほんの少し知っていることをお伝えしただけで、、(^^ゞお恥ずかしい限りです。
あおばさんには、こちらこそご一緒して頂いて、楽しくおしゃべりしながら素敵なぷりんさん始め諸先生方の作品を拝見させて頂き至福のひとときでした。
素敵なご縁に感謝、感謝でございます。

追伸;原ゆたかさんのサイン入りぞろりの本をゲット!息子にえらい感謝されました。
私はぷりんさんのサイン入り絵本が欲しかったです、、。
画廊のKomoriさんにもいろいろ楽しいお話をお聞かせいただき、お世話になりました。共通の知り合い(童心社のShimozono氏)がいることも判明。ひとってどこかでつながっているのだわ、と嬉しくなりました。

投稿: nakochan | 2009年7月 5日 (日) 22時25分

virgonakochanさん
「こだわりのある」息子さんに気に入っていただけて
ほんと、嬉しいです。子供って、好きなものは
ほんと、何度も何度もくりかえしますよね。
わたしにも、覚えがあります。
息子さんの感想、これからの、
お話つくりの励みになりました!

komoriさんはもとは、編集者だった方です。
優秀ですよ。お話が弾んだようす、何よりです。
童心社とは、私はまだ、おつきあいがありません。
機会があったら、shimonozoさんに
こちらのブログやHPを見ていただけるように
してくださると、嬉しいです。

サイン入りのご本は、こんど、さしあげますよ!
HPのお問い合わせから、おはいりくださいな。

投稿: ぷりん | 2009年7月 6日 (月) 06時50分

さすが、様々な視点で構成を考えていますなあ〜。
しかし紙芝居の他に、短歌の世界に入っていくとは・・・
またひとつ、新たな世界が構築されていくような予感。。
ドキドキ (^^;

投稿: アルキメデス | 2009年7月 6日 (月) 20時10分

eye歌を読めたらすてきだろうな。と思いますけど、
今をとても無理。。。
そのうち。本格的にならってもみたいですけど、
今の骨格の勉強をちょんとさわっているだけです。

投稿: ぷりん | 2009年7月 7日 (火) 05時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1204961/30384409

この記事へのトラックバック一覧です: 静岡の伝説「ふたつの赤い月」最終話:

« 静岡の伝説「ふたつの赤い月」その3 | トップページ | 万葉集を学ぶ その1 »