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2009年6月 2日 (火)

山形の伝説「あこや姫」(最終回)

「おいたわしい貴方。

わたしは、つらくてなりません。

されど、貴方が橋の礎となり、国の人たちの

救いになってくださるのならば、

覚悟いたします。

お別れいたしましょう。さようなら」

姫は手にした縄で、松をさとすように

やさしく打ちました。

すると、かさりと、枝がゆれ、

樹は、まるで、水に浮かせたかのように

するする、するすると動き出しました。

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姫は、松になにやらささやきながら、

縄をあやつります。

松は、励ましにこたえるように進みます。

こうして、ふたりは、険しい山道を越えてゆきました。

この峠は「ささやき峠」と呼ばれるようになり、

今の「笹谷峠」となりました。

名取川にりっぱな橋がかかると、

あこや姫は、切られた松のあとに、

松の苗を植えました。

そして、、髪をおろし、そばに小さな庵を建て、

一生をおえたということです。

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松のとなりにお墓をたててほしいと

言い残したあこや姫。

「阿古耶の松」と呼ばれるようになった

この松は、今でも、お墓を守るように

枝を広げています。

月がきれいな夜には、琴と笛の音が

聞こえるとか、聞こえないとか。。。

        (おしまい

私が、このお話で考えさせられたのは、「大義」というもの。

あこや姫は己としてはいちばんつらい「夫との別れ」を

「人のため」に断ち切りました。迷う夫に犠牲になることを

すすめました。私事というのは「小事」であるという決断でしょう。

されど、尼になって夫の菩提を弔うことで

「夫婦の契りの約束」をつらぬきました。

りっぱな女性だと思います。

美しい月夜の「静の場面」と大樹の「動の画面」

の対比がドラマティックで、絵にしやすいところも

魅力的なお話です。

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コメント

はじめまして
aobaと申します。
今朝は私のつたないブログにおいで頂き、どうも有り難うございました。
水野プリン様とはw(゚o゚)wいたしました。
あこや姫、じっくりと読ませていただきます。

投稿: aoba | 2009年6月 2日 (火) 11時27分

胸がキューンと熱くなりました。
でも、とても心地よい余韻です。

いろいろ考えさせられるお話ですね。
コメントも書いては消し、書いては消しと。
私の想いが、うまく表現できません。
 
でも、一度この阿古耶の松を見に行ってみたいです。

投稿: せりなずな | 2009年6月 2日 (火) 13時34分

若い頃仙台に住んでいた、新幹線で仙台に入ると一番先に渡る大川が名取川でこの橋を渡ると帰ってきた感じがした。仙台を日本海に進むと国道が笹谷トンネルを通る、スパイクで舗装がはがれたデコボコな道路のトンネルだった、そんなことを思い出しました。

投稿: GAMA | 2009年6月 2日 (火) 21時52分

どうしても「あやこ姫」と読んでしまう無粋なやつです。
お国は違っても、昔話にはいろいろな教えが詰まっていますね。
昔話全集に載ってるのかな?
いいお話探してみようっと。

投稿: 猫の手 | 2009年6月 2日 (火) 23時08分

snailaobaさん。
どうぞ、ときどき遊びにきてくださいね。
わたしも、ブログ初心者です。
お話づくりに挑戦しようと、はじめました。
おたがい楽しいブログづくり、がんばりましょうね。

投稿: ぷりん | 2009年6月 3日 (水) 09時05分

cloverせりなずなさん
わたしは、悲しいお話が、けっこう好きなんです。
こわいお話も好き!日本の怪談って、せつないものが
多いのです。こんど、書きますね。
せりなずなさんのお話は、トトロのような
あたたかさやなつかしさがあると思います。

投稿: ぷりん | 2009年6月 3日 (水) 09時13分

waveGAMAさん
そうですか?名取川をごらんになったことが
あるのですね。このお話を書きながら、行ってみたいなぁ。と思っていたのです。
こんど、お話を聞かせてくださいね。

投稿: ぷりん | 2009年6月 3日 (水) 09時16分

cat猫の手さん
そうね、「あやこ姫」のほうが、呼びやすいわね(笑)
わたしは、こんな女性にあこがれるのですけど、
実際は文句たらたらの女。。。往生際も悪く、清経の妻のよう。。。なんとかしたいものです。

投稿: ぷりん | 2009年6月 3日 (水) 09時20分

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