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2009年6月30日 (火)

静岡の伝説「ふたつの赤い月」その3

「およしなされ、とても無理じゃ。」
「名人の父さんでも、やられたんじゃ。」
村人たちは、ひきとめますが、
ふたりの決心は かわりません。
かつて父が隠れたと同じ大岩に 身をひそめて
おろちを 待ち構えました。
6
やがて、あたりを 霧が かくしていきました。
そうして、どこからか、なまぐさい風が ふいてきたかと思うと、
黒い右の木立の上に、ひとつ。
黒い左の木立の上にまたひとつ。。
赤い光が、すうーっとのぼりました。

「あれが、ふたつの赤い月。。。」
見ていると、からだがしびれてきます。
姉が言います。「いけない、あの月を見てはいけない」
妹がうなずきます。「父さんも、あれを見て動けなくなったのだ」
ふたりは、しっかり目を閉じました。

ああ、でも見えます。
赤いふたつの月は、らんらんと光る
皿のような おろちの目玉でした。

目玉は、地面をなめるように、
ゆっくり上がったり、下がったりしながら、
ずり、ずりり。。。ずり、ずりり。。。
と、おそろしく長いからだを ひきずって、近づいてきます。

姉が言います。「わたしは 右の目を ねらおう。」 
妹がうなずきます。「わたしは 左の目を ねらおう。」

おろちは、もう目の前。
ふたりは ちからいっぱい 弓を引き絞り
矢を放ちました。
7 (つづく)

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コメント

会話文の前に『姉が言います。』とつけることによって、緊迫感やスピード感を感じます。
すごい文章の構成力ですねぇ。

絵も息子と一緒に見て、意見交換しています。
正面の迫力ある絵には、子供はさすがに一瞬息を飲んでいますcoldsweats01
親子で楽しめて、ぷりんさんのブログは本当に良いですheart04

投稿: せりなずな | 2009年7月 1日 (水) 10時16分

cloverせりなずなさん
せりなずなのように「読ませる文」を書ける方に
文章をほめていただけると、嬉しいです。
なおくんと一緒に見てくださってありがとう。
「おろち」の絵で、なおくんは泣かなかったかな?
ちょっと、心配です。

最近、コメントに絵文字も挿入なさって、
ブログ技術も向上ですね。

投稿: ぷりん | 2009年7月 1日 (水) 18時37分

無事帰ってきました。その3に間に合ったあ〜(^^♪
楽しいなあ。
紙芝居を待つ気持ちだなあ〜
また拍子木の音が聞こえると走っていくのかな~~

おろちの顔が お そ ろ ち (>_<)

投稿: アルキメデス | 2009年7月 2日 (木) 17時53分

おもしろいよ~~!早く続きが読みたいです!

           nakoの息子(小3)より

投稿: nakochan | 2009年7月 2日 (木) 20時10分

eyeアルキメデスさん
無事、北海道から、お帰りなさい。
竹馬の友との再会、さぞ、楽しかったのでは?

わたしも、すっかり紙芝居屋さん気分です。
こういった迫力のあるお話は好きなのですが、
仕事ではなかなかめぐり合わない。。
ブログで描いて、発散しています。

投稿: ぷりん | 2009年7月 2日 (木) 20時53分

applenakochanさん
ご子息に読んでいただいて、嬉しいわ。
こういったお話は小学校3年、4年あたりから、
楽しくなるのかしらね。
わたしも、そのころ児童向けの推理小説とか、
こわい話が好きでした。こんど、「ぼく」の
お話を聞かせてくださいな。

投稿: ぷりん | 2009年7月 2日 (木) 21時00分

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