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2009年6月25日 (木)

静岡の伝説「ふたつの赤い月」その1

さて、今回は静岡の南伊豆に伝わる、けなげな

あだ討ち話をひとつ。。。

むかし、婆娑羅山という山に、おろちが 住んでおりました。

おろちは、人も 馬も 牛も ひとくちで 呑み込んでしまう

蛇の怪物です。

山にうすらと 霧がかると、、きまって ふもとの村を おそいます。

そのとき、ふしぎなことに 赤い月がふたつ のぼります。

ですから、月が ふたつ 見えると、

「おそろしや。おろちがくるぞ」

村人は、ふるえあがって、家にとじこもるのでした。

1

ある日 村に ひとりの弓の名人が あらわれました。

おろちのうわさを 聞いて やってきたのです。

「なに、赤い月がふたつとな?

おおかた、目くらましじゃろうて。」

名人は 太い腕を さすって笑いました。

「安心するがよい。わしが退治してやろう」

2

さっそく、山に向かい、大岩の影にひそんだ名人。

おろちがでるのを、じいっと待ち構えます。

あたりは、山鳥の声ひとつ 聞こえません。

やがて、夜になり、霧がたちこめはじめました。

すると、黒い左手の木立から、ひとつ。。。

黒い右手の木立から、またひとつ。。。

赤い光が、すうーっと のぼりました。

「なるほど、赤い月が ふたつ」

見ていると、からだがしびれ、気が遠くなっていくようです。

ずり、ずりり。。ずり、ずりり。。。

霧の中、ぶきみな音が近づいてきます。

名人は 頭をふって、岩かげから、とびだしました。

あやしい気配にむけて、矢を打ち込みます。

ひょう!ひょう!ひょう!

でも、からだは ますます しびれてきました。

もう 動けません。

と、目の前に まっかな おおきな口!

「うおおおお!」

名人は おろちに 呑み込まれて しまいました。

3 つづく

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コメント

おどろおどろしいお話ですね。
音の表現も、おどろおどろしていてgood
とっても惹かれます。

伝説っていいですねぇ。
続きが、はやくみたいです。

投稿: せりなずな | 2009年6月25日 (木) 16時23分

cloverせりなずなさん
あはは、神秘的な情景に描きたかったのですが、
ついつい性格がでて、おどろおどろしてしまいました。
このお話は、「ふたつの、赤い月」に
絵ごころをくすぐられて選びました。
民話や、紀行文から、再話していますが、切り口を変え、アレンジを加えます。
お楽しみに!

投稿: ぷりん | 2009年6月26日 (金) 06時59分

こんにちは。
赤い月が二つ・・・・
目だけが赤く光る透明なおろち。
それとも、闇に包まれ、闇を抱き、辺りを闇にする。
後者の方でしょうね。
子供の頃、日本昔話は怖く、夜お手洗いに行けなくなるので、世界のお話の方を好んで見ていました。
なにせ、したきりすずめの舌を切られた後の、赤い嘴が怖くて堪らなかったくらいですから。
今でも怖いかな?
怖いもの見たさで、続きが楽しみです。

投稿: aoba | 2009年6月26日 (金) 15時28分

snailaobaさん
こわくて、まいまいちゃんは、
目をあっちにきょろきょろ、
こっちにきょろきょろしてるのかしら(笑)
わたしは、こわいお話好きなのですけど、
お仕事では、なかなかチャンスがないので、
この場所で、遊んでいます。
「こわい話」というのは、描いてる本人は、ぜんぜん
こわくないのよね。不思議です?

投稿: ぷりん | 2009年6月27日 (土) 06時04分

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