« 「耳袋~忠義なぶち猫」(後編) | トップページ | 絵本について思うこと »

2009年5月14日 (木)

悟りたいもの、悟れないもの

南麻布の「SATORI」という店に

連れられて、はじめて行った。

店内はどこか凛としたたたずまい。

まずは、ビール。つきだしがでる。

並びが美しい。こはだの小さなお鮨がおいしい。

この店の「心構え」を見たようで、

楽しい予感にかられる。

「呑む」のが、いっときの旅とすれば、

そのはじまりに、網目のきれいな

新しいわらじをわたされたようなここちだ。

先達となる店主の顔を見る。

坊主頭がすがすがしい。まだ、若い。

目が大きくて、力を放っている。

「鶴齢(かくれい)」という日本酒が

この店のお勧め。

はじめて知る銘柄である。

店主によれば、新潟の蔵で昔ながらの手づくりとか。

清らかで青竹を思わせるような口当たり。

そこで、連れとの話題は、酒づくりの話となった。

彼女いわく、取材先のオートメーション化した蔵元で

「手作りが良いわけではなく、手間をかけるをことが

大事なのだ」という話を聞いたそうな。

なるほど。。機械の力を借りれば、

今までできなかった工程をふみ、

いっそう精度の高いものができるのかも知れない。

と、悟った気持ちになったものの。。。

思うのである。

蔵に男たちのおおらかな唄声が響いて、

その節回しをはやくしたり、遅くしたりで

時を計り、仕込みを工夫する。

米も酵母も唄にあわせて、踊りだす。

そんな工程をなくして、機械にまかしてしまうのは、

人の原始の力、すなわち

天から神様が降りてくるような想像への感覚

を捨てていくような気もする。

「鶴齢」の酒づくりで、まだそんな人の力が

伝承されているのであれば、貴重である。

料理をきれいに、食べて、

最後に鯛茶漬けをいただいて、帰途につく。

店主は何を「SATORI」たいのだろう。

料理を極めたいという「志」をもって命名したのか?

おいしいとはこれだ、とお客に「SATOってほしい」のか?

悟れないことばかりの人生を、笑うように

月が細く照っている。

店主の大きな目とは、反対だ。

Satori

|

« 「耳袋~忠義なぶち猫」(後編) | トップページ | 絵本について思うこと »

酒肴の花」カテゴリの記事

コメント

麗しく大人な夜を満喫された由、うらやましい。
HPへやっとコメントが入れられました。
遅くなってゴメンね。
物語のようなエッセイを時々楽しませていただきますわ。
そういえば、先日、林の中におうちを建てた友人宅へ行ってきました。
月の光の中で眠りました。
とても幸福な一夜でありました。
月の光って、鎮静作用があるのでしょうか。
あ、でも、満月の夜は犯罪が増えるというから、ちがうね。
いつか、月の光のお話など作ってあそびましょう。

投稿: みや | 2009年5月14日 (木) 23時09分

moon3まぁ、読んでてくださったのね。嬉しいわ、どうも
ありがとう。月は、太陽とちがって、視覚的にも、とくとながめられるもの。しかも、忙しい昼間とちがって、
余裕があるので、物事を連想するのにちょうど、いいのでしょうね。歌に読まれ、お話になったり、古来より、
アイテムとして、活躍しますね。
竹林の月のなかで眠るミヤさんは、天に帰れなかったかぐや姫のような佳人を連想させます。現世のわずらわしさを月の光が清めてくださったのでしょう。
私だったら、お酒もはいって、おおかみに変身してたかもしれません(笑)

投稿: ぷりん | 2009年5月15日 (金) 06時24分

最近家で飲むとすぐ眠くなって寝てしまうので、食っちゃ寝の状態です、少し太ってしまったのでしばらく禁酒と運動でダイエットだ、次にぷりん先生にお会いするときはゲッソリした顔になっていたいです・・・・

投稿: GAMA | 2009年5月15日 (金) 07時35分

moon1あらら、そんな無理してダイエットなぞしなくても。。
男の人は少し太ったぐらいは、貫禄です。
おいしいお酒と肴で、月を眺めて、はかない命を
楽しみましょうよ。謙信候を見習って、人生は一酔の夢。そして、一盃のお酒です。

投稿: ぷりん | 2009年5月15日 (金) 10時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1204961/29605129

この記事へのトラックバック一覧です: 悟りたいもの、悟れないもの:

« 「耳袋~忠義なぶち猫」(後編) | トップページ | 絵本について思うこと »