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2009年5月29日 (金)

山形の伝説「あこや姫」第二回

その夜から、あこや姫が琴を奏でるたびに、

笛の音が寄り添うようになりました。

やがて、姫が、若者を心待ちにするようになると、

若者は立ち去らなくなりました。

こうして、いつしかふたりは、夫婦になっておりました。

若者は毎夜のように通ってきて、姫に

やさしい言葉をかけます。姫は幸せでした。

しかし、不思議なことに

「どうぞ、お名前をあかしてください」

と、問うても。若者は首をふるばかり。

だまってしまいます。

3_2

どうしてでしょう?

そのわけは、ある日突然わかりました。

若者が打ち明けたのです。

「あこや姫よ、実はわたしは人ではない。

千歳山にある大きな松の精なのです。

姫が花を摘む姿を見ているうちに、

いとおしくなり、こうして参ったのです。」

驚く姫を抱きしめながら、若者は続けます。

「されど、夫婦のえにしも 今宵かぎりとなりましょう。

明日私は、名取川にかける橋木になるさだめです。

ただ、斧で切り倒され、千人のきこりに縄で、

引かれることになっても、私は、そなたのいる

千歳山を離れますまい。」

若者が苦しげに言い終わると、

あたりは、にわかに霧がたちこめました。

姫は泣いて追いかけます。

「たとえ、松の精であろうとも、

貴方はわたしのいとしい夫。

夫婦の契りのお約束を忘れはいたしません。」

しかし、霧は若者を包み隠してしまいました。

4 (つづく)

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コメント

ぷりんちゃん、こんにちは。

「平和絵本」へのコメントは少ないけれど、ブログを見てくれている人は多いので、
見えないところで広がっていてくれるかな?
そうだといいね。

あこや姫のお話も知りませんでした。
各地に知らない民話がいっぱいあるのでしょうね。

それではまたね。

投稿: 猫の手 | 2009年5月30日 (土) 12時11分

cat「平和絵本」は、猫の手さんのブログの雰囲気とまったくちがうので、読者の方はとまどってらっしゃるのよ。
ごめんなさいね。無理をいいました。
でも、猫の手さんが、感動してくれたのですから、
自信はつきました。そのうち、広がってくれると
思うわ。どうも、ありがとう。

投稿: ぷりん | 2009年5月30日 (土) 12時24分

ブログに来てくださってありがとうございました。

さっそくホームページ拝見させていただきました
引き込まれるような絵に、ただただ感動!
久しぶりに背筋にゾクゾクっというものを感じました。
         
                    せりなずな

投稿: | 2009年5月30日 (土) 14時13分

はじめまして、猫の手さんのブログからやってきました。
棟方志功が現代によみがえったような絵もありますし
クレーのような色使いもありますし、独特な世界ですね。

実は、私も武蔵野美大卒です。デザイン科ですが。
美術の世界を教えてくれた師匠(予備校の先生)は絵本作家です。
私は個人で、印刷物などを作ってますが、最近はひまなので
犬猫保護団体ちばわんのポスター・チラシなどを作っています。
仕事より楽しいですが、ボランティアなのです(笑)。

投稿: カプアンパパ | 2009年5月30日 (土) 15時41分

beerせりなずなさん。
そうそうに遊びにきてくださって、ありがとう。
「さかさまトンネル」を読んで達者に
書いてらっしゃるなぁと思いました。
ビールを飲でいるお母さんの様子が笑えました。
泣きそうななっちゃんのお顔が浮かびます。
また、続きを読みにいきますね。

投稿: ぷりん | 2009年5月30日 (土) 17時14分

dogカプアン、パパさま。
まぁ、同じムサビでしたのね。しかも、同じ業界。
絵を見てくださって、ありがとう。嬉しいです。
師匠の絵本作家って、どなたでしょうね。

うちは、ちなみに猫が2匹。ふたりとも(昔は)女の子。
国はどちらも不詳。流れものです。
また、お目汚しになりますが、いらしてくださいませ。

投稿: ぷりん | 2009年5月30日 (土) 17時23分

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